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タイ中部地方サムットソンクラーム観光【穴場編】
サムットソンクラーム県は、バンコクから南に車で1時間半ほど走ったところにあるタイで最も小さな県です。アムパワー水上マーケット、メークローン市場など、とても有名な観光地もあり、何度も訪れたことがあります。先日、サムットソンクラームを再訪し、穴場の観光地巡りをしてきました。
今回は、タイ人の仏教美術の先生が率いるツアーに参加して、サムットソンクラームのアンパワー周辺をご案内していただきました。一般的なツアーでは行かない、ちょっとマニアックな寺院を訪れました。
今回訪れた知られざるサムットソンクラームの穴場の観光地をご紹介しましょう。
メークローン川沿いの伝統的なタイの暮らし
サムットソンクラーム県の中心には、昔からこの地域の人々の暮らしを支えてきたメークローン川が流れています。
サムットソンクラームではボートを借り切って、メークローン川のボートトリップを楽しみました。
週末の夕方から賑わうアムパワー水上マーケットは、午前中はまだお店も閉まっていて、観光客もほとんどいません。
川辺には椰子の木が生い茂り、船着場のある昔ながらのタイの家屋や寺院が点在しています。
アユタヤ時代からの伝統的なタイの人々の暮らしがそのまま残っているような、のどかで異国情緒たっぷりの光景が目の前に繰り広げられます。
ワット・プムマリン・クディートーン
Wat Pummarin Kudeethong
วัดภุมมรินทร์กุฎีทอง
サムットソンクラーム県のアムパワーは、現在のバンコク王朝を創設したタイ国王ラーマ1世の妃であった、アマリン王妃の出身地です。
ワット・プムマリン・クディートーンには、アマリン王妃にまつわるこんな逸話があります。
アユタヤ時代末期、アムパワーの裕福な家庭の娘として生まれたナーク(後のアマリン王妃)は、ある日寺院の僧侶に運勢を占ってもらいました。
すると僧侶が「この娘は将来王妃となるだろう」と予言したため、ナークの父親は「もし実現したら金色の僧坊(クディートーン)を建てよう」と約束します。
その後ナークは、アユタヤの官僚貴族であったトーンドゥアン(後のラーマ1世)と結婚、後のラーマ2世となる男児もアムパワーで誕生しました。
しかし、ビルマ人の攻撃によってアユタヤが陥落し、時代はトンブリ王朝へと移行
トーンドゥアンとナークもバンコクへと移り住みます。
トンブリ王朝に続き、トーンドゥアンはバンコク王朝を創設し、タイ国王ラーマ1世として即位し、ナークは占い通りに王妃となったため、ナークの父親は、約束通り、金で装飾された壮麗な僧坊を建てました。
その時の僧坊が、現在ワット・プムマリン・クディートーンに移築されていて、博物館として公開されているのです。
チーク材で建てられた美しい伝統的なタイ様式の建物の内部には、さまざまな骨董品が展示され、ラーマ1世とアマリン王妃の肖像画も飾られています。
アマリン王妃にまつわる逸話は色々あって、「事実は小説よりも奇なり」の言葉通り、波瀾万丈な人生を送ったようです。
歴史好きな私は、女性としてのアマリン王妃に少なからず感情移入してしまうのですが、そんなアマリン王妃に縁のあるお寺を訪問できて、とても感激しました。
ワット・バンケー・ヤイとワット・バンケー・ノイ
Wat Bang Khae Yai & Wat Bang Khae Noi
วัดบางแคใหญ่ / วัดบางแคน้อย
次に訪れたのが、ワット・バンケー・ヤイ(Wat Bang Khae Yai)とワット・バンケー・ノイ(Wat Bang Khae Noi)。
この二つのお寺は、タイ国王ラーマ2世時代に、現在の国防大臣に相当する地位に出世したラーチャブリー出身の政府高官が、彼の正妻と第二夫人のために建てた寺院です。
正妻の寺院ワット・バンケー・ヤイと、第二夫人の寺院ワット・バンケー・ノイがメークローン川沿いに並んで建っています
まずは、ワット・バンケー・ヤイを見学。敷地内には、本堂、鐘楼、仏塔などがありますが、総じて地味な印象でした。
最大の見どころは、高床式の小さな僧坊。僧坊内にはラーマ2世時代に描かれた貴重な壁画が残っています。古い木造建築なので、多くの人が押しかけることはできず、順番に木の階段をゆっくりと上り、壁画を鑑賞させていただきました。
小さな僧坊に中は、まるで200年前にタイムスリップしたかのような不思議な空気が流れていました。
続いて、第二夫人のために建てられた寺院、ワット・バンケー・ノイを見学しました。
こちらは第二夫人のために建てられた寺院です。
本堂に入った途端、息を飲むほど美しいチーク材の彫刻画に魅了されました。本堂の壁も天井も全てが緻密な木彫りの彫刻で覆われています。
タイの仏教寺院の中でも、このように木彫り彫刻で装飾された寺院は珍しいのだそうです。
寺院そのものはワット・バンケー・ヤイと同様、200年前に建立されたものですが、1997年に大規模な修復作業が行われたため、現存する彫刻は状態がよく、美しさが際立っています。
ところで、誰もが気になるのが、なぜ第二夫人の寺院が正妻の寺院よりも華やかで美しいのか…? ということではないでしょうか。
今回案内してくださった先生曰く、第二夫人という立場になった女性が拗ねたり機嫌を損ねたりしないよう、正妻よりも立派なお寺を建ててあげたのではないかとのこと。
うーん、それにしても既婚女性にとっては、ちょっと胸がざわついてしまう寺院かもしれませんね。
ワット・バンケー・ヤイとワット・バンケー・ノイの地図
サムットソンクラーム県のカトリック聖堂
Cathedral of the Nativity of Our Lady
อาสนวิหารแม่พระบังเกิด
続いて、メークローン川沿いにあるカトリック教会に立ち寄りました。
タイというと仏教国というイメージがありますが、正しくは仏教徒が多数を占める国というだけで、実際には様々な宗教の民族が共存している国といえます。
青い空に映えるブルーのゴシック様式の美しい聖堂は、タイにいることを忘れてしまうほどでした。
この地域にキリスト教徒が住み始めたのは1850年ごろなのだとか。
教会の来歴や詳細はよくわかりませんでしたが、サムットソンクラームにこんな美しい教会があるなんて、全く想像していませんでした。
教会でちょっと印象的な錫彫刻を見つけました。
燦々と輝く太陽と椰子の木の木陰に座る男女。もしかして、これはアダムとイブの南国版では?東南アジアらしくて素敵な彫刻に目が釘付けになりました。
よく見てみると、教会の扉にも錫彫刻がたくさん飾られていました。
昔マレー半島でよく錫が採掘されていたそうですから、何か関係があるのかもしれませんね(あくまで個人の憶測です)。
ラーチャブリーのキリスト聖心教会
Wat Phra Christ Phra Haruthai
โบสถ์ วัดพระคริสตหฤทัย
美しいブルーのカトリック聖堂を見た後は、可愛らしいピンクの教会にも立ち寄りました。正確には、ピンクの教会はサムットソンクラーム県の県境を超えて、隣のラーチャブリー県にあります。
こちらの教会も詳細は全くわかりません…。でも、とっても可愛い教会ですよね!
もしこの辺りに行く機会があったら、是非立ち寄ってみてくださいね。
ワット・アムパーワン・チェーティヤラーム
Wat Amphawan Chetiyaram
วัดอัมพวันเจติยาราม
サムットソンクラーム県で最も有名な寺院といえば、ワット・ワムパーワン・チェーティヤラーム。
タイ国王ラーマ1世の正妻であったアマリン王妃の実家のそばに建てられた寺院で、ラーマ2世の生誕地でもあります。
現在のバンコク王朝の出発点とも言える重要な場所で、寺院のそばにはラーマ2世記念公園があります。
公園内の伝統的なタイ様式のお屋敷では、バンコク王朝初期の暮らしが展示されています。
バンコク王朝の歴史や文化に興味がある方には必見とも言える、おすすめの観光スポットです。
有名なアムパワー水上マーケットのすぐそばにあるので、私も何度か訪れたことがありましたが、この日は寺院に到着した途端、急にスコールが降り出してしまいました。
そのため、寺院の見学は全くできず、急いで撮った写真もかなりしょぼくて、とっても残念でした。
また日を改めて、ゆっくり見学に来たいと思います。
ワット・バーンカポーム
Wat Bangkapom
วัดบางกะพ้อม
サムットソンクラームで最後に訪れたのが、とても不思議な魅力を持つワット・バーンカポーム。
アユタヤ時代末期に建立され、ラーマ2世時代に完成した古い寺院です。
見どころは、四層に重なる大きな仏足石のレプリカがある仏堂。
仏堂の壁画は、タイで唯一の漆喰のレリーフで仏陀の生涯などが描かれていて、仏教美術に興味がある方は必見でしょう。
寺院の敷地内には、大木に覆われた古い仏堂の遺跡もあり、もう一つの見どころになっています。
小さな洞穴のような入り口から、真っ暗な遺跡の中に入ると、暗闇の中に石の仏頭が浮かび上がって見えます。
異空間に迷い込んだような、アドベンチャーな気分が味わえました。
アムパワーのブティック・ホームステイ
Baan Kwaeom Boutique Homestay Amphawa
บ้านแควอ้อม บูติค โฮมสเตย์ ฟัมพวา
アムパワーでは、バーン・クウェーオム・ブティック・ホームステイを見学させていただきました。
川沿いのホームステイ用のビラで、敷地内にはそれぞれ雰囲気の異なる3棟の建物があります。
どの建物もインテリアにとてもこだわりがあって、お洒落で快適そうでした。
特に素敵だったのが、プール付きの伝統的なタイ様式の家屋(Pool Villa)。
寝室は2部屋あるので、家族やグループで最大8人くらいは泊まれるそうです。
ビラの周辺には果樹園もあり、長閑でリフレッシュできそうです。
アムパワーは見どころの多い人気の観光地ですが、バンコクから車で1時間半で行けるため、日帰りでしか行ったことがありませんでした。
そもそもアムパワーにはホテルが多くないという事情もあります。
でも、素敵なホームステイに立ち寄ってみて、次は絶対に泊まりがけで遊びに来たい!と思いました。
サムットソンクラームの穴場の観光地巡りの感想
サムットソンクラームの穴場の観光地巡りの旅はこれでおしまい。
あまり知られていないマイナーな寺院を中心に訪れましたが、今回は仏教美術の先生に説明してもらい、様々な見所に気付かされた1日となりました。
何よりも、アムパワーにはバンコク王朝初期の人々の暮らしが残っていて、タイの人々に懐かしい感情を思い起こさせる街だということが、改めて納得できました。
サムットソンクラームの見どころはこちらのページもご参考に!
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