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137ピラーズ・ハウス・チェンマイとは
137ピラーズ・ハウス・チェンマイ(137 Pillars House Chiang Mai)は、チェンマイ市内に佇むスモール・ラグジュアリー・ホテルです。

1880年代に建てられた美しいチーク材の邸宅は、かつて英国ボルネオ社の社屋兼住居として使われ、ミュージカル「王様と私」で知られるアンナ・レオノウェンズの息子、ルイス・レオノウェンズもここでマネジャーとして滞在していました。

歴史ある建物は現在のオーナーによって美しく修復され、2012年から全室スイートのブティックホテルとして生まれ変わりました。
私は2025年6月に初めて宿泊。ランパーン観光と合わせて、英国植民地主義下のタイ北部におけるチーク産業とルイス・レオノウェンズの足跡をたどる旅となりました。

歴史の舞台:137ピラーズ・ハウス・チェンマイの物語
「王様と私」の舞台、近代化を急ぐ19世紀のシャム(タイ)。
英国人教師アンナ・レオノウェンズが息子のルイスと共に宮廷入りし、ルイスは皇太子(後のタイ国王ラーマ5世)と共に教育を受けました。シャムを去った後、ルイスが25歳の時にシャムを再訪。ボルネオ社に就職し、1888年にチェンマイ支部長に就任します。

当時、チーク材はシャムにとって重要な輸出品であり、英国企業が伐採権を得て広く利権を持っていました。137ピラーズ・ハウスはボルネオ社の社屋として建てられ、名前は「137本の支柱」に由来します。

2005年に最後の所有者ジャック・ベイン氏から譲渡され、2012年にホテルとして開業。
敷地内には当時の歴史を紹介する小さなミュージアムもあり、幼少時のルイスと皇太子が一緒に写っている貴重な写真も展示されていました。

137ピラーズ・ハウス・チェンマイにチェックイン
チェンマイ空港からタクシーで約15分。ピン川西岸の閑静な住宅街にあるこのホテルは、喧騒から離れた隠れ家のような存在です。

門をくぐると、開放的で美しいロビーでウェルカムドリンクとおしぼりのサービス。チェックインもスムーズでした。

客室数は全30室。今回は「ラジャー・ブルック・スイート」を予約したのですが、一つ上のカテゴリーの「イースト・ボルネオ・スイート」にアップグレードしていただきました。ちなみに、5つの客室名は、すべてボルネオ社の歴史にちなんでいます。

チーク材の旧家屋はホテルの敷地の中央にあり、現在はレストランやバー、ショップ、そしてミュージアムとして使われており、客室棟は後から建てられた新しい建物で、モダンかつ快適な設備が整っています。

コロニアルな客室「イースト・ボルネオ・スイート」に滞在
広々とした敷地には、樹齢を重ねたタマリンドやガジュマルの大木が枝を広げ、木陰に設けられた静かな庭園の小径を歩いていくと、2階建ての宿泊棟の1階にある客室へとたどり着きました。

「イースト・ボルネオ・スイート」は、赤をアクセントにしたコロニアルスタイルの美しいインテリアが印象的なお部屋でした。

ベッドはツインかキングが選択可能で、柔軟に対応してくれます。

大きなソファとテーブルが配置され、まるで第二のリビングルームのような広々としたテラスも素敵です。テラスからは手入れの行き届いたホテルのガーデンを望むことができました。

今回宿泊したのは1階の客室だったため、他のゲストが近くを通ることもありましたが、全体の客室数が少なく、滞在客数も限られているため、静かで落ち着いた雰囲気が保たれていました。
寝室の窓辺にもソファーとテーブルのセットがあり、ウェルカムフルーツが用意されていました。

ベッドサイドに置かれたワゴンがバーコーナーになっていて、ポットや飲料水のほか、リキュールやカクテル用のシェイカーなどが、シンプルにセットされていました。

夜のターンダウンサービスでは、チョコレートやピローミストが添えてあり、穏やかな眠りへと誘ってくれます。

そして何よりも感動したのが、ゆとりあるバスルーム。ドレッシングエリアにはロッキングチェアが置かれ、バスタイムの前後にもゆったりと寛げる空間になっていました。


クラシカルな猫足のバスタブは、バスソルトが添えられ、まさに優雅なリラックスタイムを演出してくれます。
バスアメニティは、タイの人気スパブランド「パンピューリ(PAÑPURI)」の製品で統一されており、香りや使用感も上質そのもの。

また、シャワーは屋内と屋外の2ヶ所に設けられており、特に壁に囲まれた開放感ある屋外シャワーは、南国のリゾートらしさを感じさせてくれる体験でした。

美食と音楽の夕べ:ホテルのレストランでディナー
チェンマイ市内を散策してからチェックインしたこの日は、ホテル内でゆっくりと夕食をいただくことにしました。
まず訪れたのは、「ジャック・ベインズ・バー(Jack Bain’s Bar)」。

このバーは、第二次世界大戦後に英国ボルネオ社を買収したウィリアム・ベイン氏の息子であり、跡取りだったジャック・ベイン氏の名を冠したものです。ベリーニ(580B)とモヒート(320B)を注文。

バーの隣には開放的なテラス席があり、夕暮れどきにはピアノの生演奏も始まりました。爽やかな風を感じながら、静かなカクテルタイムを楽しむひとときは、まさに旅先の贅沢。

その後、ホテルのレストラン「パレット(Palette)」でディナーを。
こちらのレストランでは、ランチとディナーに洋食とタイ料理の両方が楽しめ、137ピラーズ・ハウスを象徴するチーク材の美しい建築空間の中で、落ち着いた食事の時間を過ごせます。

この日は、すでにランチとティータイムで満腹気味だったため、アラカルトで軽めに「カオマオ」と呼ばれる炒ったお米を添えた海老のサラダ(480B)とスパイシーなアボカドのサラダ(380B)を注文。いずれも繊細な味わいで、とても満足のいく内容でした。デザートは材木をイメージしたティンバー・ケーキ(280B)。次回は、フルコースのテイスティングメニューにもぜひ挑戦してみたいと思います。

ただ一つ驚いたのは、私たち以外の利用客がほとんど見当たらなかったこと。
日曜日の夜で、ちょうどチェンマイ・ナイト・マーケットが開催されていたこともあり、多くの人が外に出かけていたのかもしれません。

「ザ・ダイニング・ルーム」での優雅な朝食
ぐっすりと休んだ翌朝、清々しい朝の空気に包まれながら、緑あふれるガーデンを歩いて朝食会場へ向かいました。

朝食をいただけるのは、ホテル中央にあるチーク材の邸宅を利用したレストラン「ザ・ダイニング・ルーム(The Dining Room)」。こちらは朝食専用のレストランとして営業しています。
中に入ると、天蓋付きのエレガントなテーブルが目を引き、迷うことなくその席へ。まるで19世紀の邸宅で迎える朝のような、優雅な雰囲気に気持ちも自然とほぐれていきます。

朝食はアラカルトとビュッフェのハイブリッドスタイル。全30室という小規模ホテルとは思えないほどの充実ぶりでした。

ビュッフェテーブルを眺めていると、ペイストリー類が見当たらず少し不思議に思ったのですが、なんとテーブルの一部が保温式の引き出しになっており、焼きたての温かいペイストリーがその中に用意されていました。
このさりげない工夫に、ホテルのおもてなしの心を感じ、思わず感動してしまいました。

滞在を彩るウェルネス施設も魅力
今回は利用できなかったものの、137ピラーズ・ハウス・チェンマイのウェルネス施設の充実ぶりも見逃せないポイントです。
プールは、緑豊かなガーデンの一角にあり、こぢんまりとしながらも落ち着いた雰囲気。プールサイドにはデッキチェアが並び、虫除けスプレーや日焼け止めなどのアメニティもきちんと用意されていて、細やかな配慮が感じられました。

敷地内には、一軒家スタイルのスパ「ニトラ・セレニティ・センター(Nitra Serenity Centre)」も併設されており、リラクゼーションメニューも豊富に揃っているようでしたが、今回は時間の関係で利用を見送りました。

ジムは、高床式の中央棟の床下部分を改装したユニークな構造で、最新のフィットネスマシンが揃っています。加えて、広々とした中庭ではヨガなどのアクティビティも楽しめるとのことで、より長く滞在すれば、観光だけでなく心身を整える時間も贅沢に過ごせそうです。

歴史を辿る旅:ホテル主催のランパーン日帰りツアー
今回の滞在で、もうひとつの楽しみにしていたのが、ホテル主催のオリジナル日帰りツアー「ランパーン:チーク商人の歴史と馬車(Lampang: Teak Wallahs, History and Horse Carriage)」への参加です。
19世紀、タイ北部のチーク材産業の一大拠点として栄えたランパーン。このツアーでは、かつて英国ボルネオ社でチェンマイ支部長を務めたルイス・レオノウェンズの邸宅をはじめ、当時の面影を今に伝える歴史的建造物や文化遺産を巡ります。

移動は専属ガイドと車で行われ、移動中にもランパーンの歴史や産業、そして英国との関わりについて丁寧な説明があり、学びの多い充実した一日となりました(※ツアーの詳細は別記事「ランパーン観光:チェンマイから行く歴史探訪の日帰りトリップ」にてご紹介しています)。
137ピラーズ・ハウス・チェンマイではこのほかにも、サムロー(三輪自転車)で巡る旧市街観光など、地域の歴史や文化に深く触れられるオリジナルツアーを提供しています。チェンマイの歴史と現在をより深く理解したい方に、ぜひおすすめしたいホテルです。

ランパーン観光の詳細はこちらの記事で紹介しています。

137ピラーズ・ハウス・チェンマイ周辺の楽しみ方
137ピラーズ・ハウス・チェンマイは、ピン川西岸の閑静な住宅街に位置しており、落ち着いた滞在を楽しめるロケーションにあります。
とはいえ、ホテルの門を出て徒歩1分ほどで、お洒落な雑貨屋やレストランが立ち並ぶピン川沿いのエリアにアクセスでき、ちょっとした散策にも最適です。

また、戌年生まれの守護仏塔として知られる「ワット・ケートカーラーム(Wat Ket Karam)」もすぐそばにあり、地元の人々の信仰に触れられる小さなお寺も徒歩圏内。
さらに、橋を渡ってピン川の東岸に出れば、チェンマイ最大かつ100年以上の歴史を持つ「ワローロット市場」や、「サンデーマーケット」で有名なターペー通りもすぐ近くです。

今回は、ワローロット市場を散策した後、ターペー通り沿いにある話題のレストラン「キティ・パーニット(Kiti Panit)」でラーンナー料理を堪能し、チェンマイ発のクラフトチョコレートブランド「サイアマヤ(Siamaya)」のショップにも立ち寄ってみました。
静けさと賑わい、どちらも楽しめるこのエリアは、観光にもグルメにも理想的な立地だと感じました。

137ピラーズ・ハウス・チェンマイ滞在を終えて
今回の滞在をきっかけに、改めてタイの近代史と当時のチーク材産業について調べてみました。
タイは列強による植民地化を免れた国として知られていますが、チェンマイ条約の締結を通じて、英国に対して経済的な利権を大きく譲渡していたこと、そして英国人たちが北部タイのチーク産業に50年以上も深く関わっていたことを初めて知りました。

さらに、第二次世界大戦中には、タイ北部に進駐した日本軍によって英国ボルネオ社が接収されていたこともわかり、驚きを隠せませんでした。
もちろん、ホテルとしての快適さやラグジュアリーな雰囲気、静かなロケーションも申し分ありません。

ですがそれ以上に、「137ピラーズ・ハウス・チェンマイ」は、滞在を通じてチェンマイの歴史を新たな角度から知ることができる、非常に貴重な場所だと感じました。
チェンマイやタイの歴史に興味がある方には、心からおすすめしたい特別なホテルです。

137ピラーズ・ハウス・チェンマイの基本情報

137 Pillars House Chiang Mai
住所:2 Soi 1, Nawatgate Road, Tambon Watgate, Muang Chiang Mai 50000 Thailand
アクセス:チェンマイ国際空港から車で約15分
公式サイト:https://137pillarshotels.com/en/chiangmai/
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137ピラーズ・ハウス・チェンマイの地図
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