ランパーン観光|チェンマイから行く歴史探訪の日帰りトリップ

ランパーン観光

※本サイトの記事には広告が含まれています

ランパーン観光の概要

北タイの古都ランパーンは、チェンマイからわずか車で約1時間半。

観光地としての知名度はチェンマイほど高くありませんが、かつてモーン族が築いた古代王国「ハリプンチャイ」の領域であり、ラーンナー、ビルマ、シャムとさまざまな文化が交錯した土地です。

19〜20世紀には英国植民地下のビルマから多くの英国人やビルマ人が移住し、チーク材産業の拠点として繁栄しました。

ランパーン観光
様々な文化が交錯した歴史ある町ランパーン

今回、チェンマイからのプライベートツアーを利用してランパーン観光に行き、寺院や歴史建築を巡りながら、タイ北部の奥深い歴史の流れを非常によく理解することができました。ここではその旅の様子を、実際の体験談とともにご紹介します。

ランパーン観光 花馬車
ランパーン名物の花馬車

ランパーンの位置

ランパーンの歴史を知って旅を楽しむ

ハリプンチャイからラーンナー、そしてビルマへ

ランパーンは、7世紀頃にモーン族が築いたハリプンチャイ王国の支配下にありました。伝説によると、初代女王チャーマテーウィーの双子の王子がランプーンとランパーンをそれぞれ治めたとされています。

その後13世紀にはラーンナー王国が台頭しましたが、15世紀から18世紀にはビルマに支配されてしまいます。

18世紀末にトンブリのタークシン王がビルマ勢力を駆逐し、ラーンナー王国が復興しました。

ワット・プラケオ・ドンタオ ティップチャーン王
ビルマの支配からラーンナーを解放するために活躍したティップチャーン王の像

英国植民地下のビルマとチーク産業

19世紀に入るとビルマは英国の植民地となり、その影響で北部タイのチーク伐採権の多くは英国に譲渡されることになりました。

北タイの豊かな森は英国ボルネオ社をはじめとする欧米企業のチーク材伐採の中心地となり、ランパーンはチーク材産業の要所として繁栄しました。

多くの英国商人や彼らに雇われたビルマ人が移住し、ビルマ様式の寺院や西洋建築が街に点在する独特の景観が形成されました。

旅の途中で目にした木造の邸宅や寺院の装飾には、こうした時代背景が色濃く残っていて、まるでタイとビルマ、そしてヨーロッパが融合したかのような雰囲気を感じます。

チーク材産業 写真
19世紀後半からランパーンはチーク材産業で栄えた

ランパーン日帰り観光体験記

ランパーンの守護寺院ワット・プラタート・ランパーン・ルアン

Wat Phrathat Lampang Luang | วัดพระธาตุลำปางหลวง

最初に訪れたのは、ランパーン観光で絶対に外せない古寺「ワット・プラタート・ランパーン・ルアン」。ランパーンの守護寺院として、県内で最も重要な寺院です。

7世紀ごろ、タイ北部で栄えたモーン族の古代王国「ハリプンチャイ」時代に建立されたと伝わるタイ最古の木造寺院です。

ワット・プラタート・ランパーんルアン
古代王国ハリプンチャイ時代に建立された寺院

見どころは、ハリプンチャイ様式とラーンナー様式が融合した美しい仏塔。ラーンナーの信仰では「丑年」生まれの人が参拝すべき仏塔としても知られていて、仏塔のそばをよく見てみると、たくさんの牛の像が並びます。

仏塔 丑年
丑年生まれの人が参拝すべき仏塔として知られる

花馬車に揺られてランパーン旧市街を散策

Carriage in Lampang Old Town | รถม้าเมืองลำปาง

ランパーン観光といえば、やはり有名なのが「花馬車」です。今回の旅では、はじめてその花馬車に乗ることができました。

馬車に乗って、軽やかな蹄の音と共にランパーンの街を駆け抜けました。

この馬車文化は、ランパーンでチーク材産業に関わった西洋人たちが持ち込んだそうです。

今回はホテル主催のツアーに参加していたため、ガイドさんが馬車乗り場まで案内してくれ、料金も分からずじまいでしたが……。

ランパーンの街を馬車で巡るのは想像以上に楽しかったので、機会があれば、ぜひ一度体験してみてくださいね。

ランパーン観光 花馬車
ランパーン名物の花馬車にも初トライ

ルイス・レオノウェンズの家でチーク産業の歴史に触れる

The Louis Leonowens House in Lampang | บ้านหลุยส์

花馬車に揺られて訪れた「ルイス・レオノウェンズの家」は、今回のランパーン観光で最も楽しみにしていた場所です。

この邸宅は、「王様と私」で知られるアンナ・レオノウェンズの息子、ルイス・レオノウェンズが100年以上前に暮らしていた住まいです

ランパーン ルイス・レオノウェンズの家
ルイス・レオノウェンズの邸宅跡

敷地内には、彼が1905年に創設した商社「ルイス・T・レオノウェンズ社」の社屋であり、かつて森林局ランパーン事務所として使われていた建物も残っています

ルイスは幼少期、母アンナと共にタイ王宮で暮らし、ラーマ5世とも親しい関係にありました。

25歳の時タイを再訪し、当初は英国ボルネオ社のチーク事業をタイ北部で担当していましたが、後に独立して自身の会社を設立し、成功を収めました。

なお、「ルイス・T・レオノウェンズ社」は、現在もバンコクで事業を続けています。

ルイス・レオノウェンズ
「王様と私」で知られるアンナ・レオノウェンズの息子ルイス

ランパーンには、かつてチーク産業で繁栄した時代の歴史的建造物が数多く残っていますが、多くは後継者の不在などにより、放置されたり解体されたりしてきました。

ルイスの邸宅も長年廃墟となっていましたが、地元の人々の協力により2021年に修復作業が行われ、現在は博物館として一般公開されています。

ルイス・レオノウェンズの家
修復されて2021年から博物館として一般公開されている

ワット・プラケオ・ドンタオとエメラルド仏の伝説

Wat Phra Kaew Don Tao | วัดพระแก้วดอนเต้า

ランパーンにある「ワット・プラケオ・ドンタオ」は、7世紀ごろのハリプンチャイ時代に建立された、非常に古い仏教寺院です。

長い歴史を持つこの寺院では、モーン様式とラーンナー様式が融合した仏塔や、1732年にビルマの支配からラーンナーを解放したティップチャーン王の記念碑、1909年に建立されたビルマ様式の優美なモンドップなども見どころです。

ワット・プラケオ・ドンタオ
様々な時代の建築様式が融合する寺院

寺院の名前「プラケオ」は、タイで最も重要とされる仏像「エメラルド仏(プラケオ・モーラコット)」がかつてこの寺に祀られていたという伝承に由来しています。

現在エメラルド仏は、バンコクの王室守護寺院「ワット・プラケオ」に安置されていますが、もともとはチェンライで発見され、その後チェンマイへ運ばれる途中、一時的(1436〜1468年)にランパーンに留まっていたと伝えられています。

伝説によると、仏像を運んでいた白象がどうしてもチェンマイに向かおうとせず、ランパーンで立ち止まったことから、この地に安置されたのだとか。

寺院内にはこの伝説を記念して、白象の像が飾られています。

ワット・プラケオ・ドンタオ
エメラルド仏を背中に乗せた白い象の記念碑

コロニアル邸宅レストランで北タイ料理ランチ

ランチには、ラーマ5世時代に建てられたお屋敷の敷地内にあるレストラン「バーン・プラヤー・スレン・バイ・マダム・ムーサー」を訪れました。

2020年にオープンしたタイ料理レストランで、女性好みのお洒落なインテリアが印象的です。

昔ながらの木造建築の技法を取り入れつつ、壁全面がガラス張りになっているため、明るく開放感のあるグラスハウスのような雰囲気を楽しめます。

バーン・スレン・バイ・マダム・ムーサー
ラーマ5世時代のお屋敷の敷地内にあるお洒落なレストランでランチ

料理は一般的なタイ料理が中心ですが、カントーク料理など北部タイのメニューも少しあり、若い女性客やファミリーで賑わっていました。

私はタイ北部の郷土料理 ケーン・ケー(แกงแค) を注文しました。

スパイシーな赤い澄ましスープに、野菜や香草がたっぷりと入った栄養豊富なカレーの一種で、自然の恵みを存分に味わえる素朴な家庭料理です。

ケーンケー
野菜がたっぷり入った北タイの郷土料理ケーンケー

このレストランがある敷地は、もともと初代ランパーン知事を務めた官僚貴族、プラヤー・スレンの邸宅でした。

第二次世界大戦中に現在のオーナー一族に売却されたものの、当時の美しいコロニアル様式のお屋敷が今も残っており、食事の前後に見学することも可能です。

ただし、お屋敷の2階は現在ゲストハウスとして使用されており、宿泊者以外の立ち入りはできないようでした。

噴水のある優雅な西洋式庭園を眺めていると、まるでランパーンにいるとは思えないような、不思議な気分になりました。

バーン・プラヤー・スレン
西洋式の庭園に佇むコロニアルな邸宅
バーン・プラヤー・スレン・バイ・マダム・ムーサー
Baan Phraya Suren by Madam Musur | บ้านพระยาสุเรนทร์ บาย มาดามมูเซอร์
営業時間:10:00-21:00
Facebook

レトロな駅舎が魅力の国鉄ランパーン駅

Nakhon Lampang Railway Station | สถานีรถไฟนครลำปาง

食後は、1916年に開業した国鉄ナコーン・ランパーン駅を訪れました。

チェンマイ駅よりも6年早く開設されていたと知り、少し意外に感じましたが、当時ランパーンがチーク産業で大いに栄えていたことがうかがえます。

多くの英国企業が拠点を構えていたことも、この地に駅が早く作られた理由の一つでしょう。

北部タイらしい装飾が施された駅舎には、どこか懐かしいレトロな雰囲気が漂っていました。

ランパーン 駅
レトロな国鉄ランパーン駅

ビルマ様式の寺院を巡る|ワット・シーローンムアンとワット・シーチュム

ランパーンには、ビルマ様式の仏教寺院がいくつも残っており、街の見どころの一つとなっています。英国人に雇われてタイ北部へ移住したビルマ人の中には、チーク材ビジネスで財を成す者も現れ、功徳を積むために寺院を建立したと伝えられています。

訪れる前は「ランパーンにビルマ寺院?」と少し不思議に思っていましたが、こうした歴史的背景を知ることで点と点がつながり、当時のチーク産業がこの地域にもたらした影響に、ますます興味が湧いてきました。

今回はビルマ寺院2ヶ所を訪問。

タイの寺院を見慣れている私にとって、ビルマ様式の装飾や仏像はとても新鮮で、異国情緒を感じながら往時の雰囲気に触れることができました。

ビルマ寺院 ランパーン
タイの寺院とは異なる趣のビルマ寺院(ワット・シーローンムアン)

ワット・シーローンムアン
Wat Si Rong Mueang|วัดศรีรองเมือง

ランパーンで最も美しいビルマ様式の仏教寺院、「ワット・シーローンムアン」を訪れました。

多層に重なる屋根が特徴的で、ひと目見ただけでタイの伝統的な寺院とは異なる雰囲気を感じます。

本堂に足を踏み入れると、柱や天井一面に色ガラスのモザイクや金細工の装飾が施され、独特の輝きを放っていました。

ランパーン ビルマ寺院
色ガラスのモザイクや金細工の装飾が華やかな本堂

ワット・シーチュム
Wat Sri Chum|วัดศรีชุม

この寺院は1890年、英国植民地下のビルマからタイに移住したビルマ人富豪によって建立されたもので、タイ最大規模のビルマ寺院だそうです。

残念ながら、1992年の火災で本堂が焼失し、現在の本堂は再建されたものです。

私は火災を免れた敷地内の小さな礼拝堂と仏塔を見学しました。

ランパーン ビルマ寺院
火災を免れた小さな礼拝堂

ランプーンのローカル市場「メーター市場」で北タイの食文化に触れる

Mae Ta Market at Lamphun|ตลาดแม่ตา ลำพูน

ランパーンからチェンマイへ向かう道沿いで、黒くて丸いキノコを並べた屋台をよく見かけました。

ちょうど6月で、タイ北部の雨季に山で採れる珍味「土栗(เห็ดถอบ)」の季節でした。

タイ北部 食文化 土栗
タイの雨季の珍味「土栗」を求めてローカル市場へ

せっかくの機会なので旬の味を楽しもうと、ランプーンのローカル市場に立ち寄ることにしました。

大きく立派な市場の建物の隣の土手沿いに小さな市場があり、地元色が濃くて雰囲気もぐっとディープです。

雑然とした屋台には、野菜やキノコ、香草類のほか、北部特有のトゥアナオ(豆の発酵調味料)やマクウェン(山椒の一種)など、見慣れない食材がずらり。

ローカル市場 ランプーン
山で採れた食材を売るディープなローカル市場

よく見ると、イノシシやカエルといったワイルドな食材まで混じっています。

どうやら、地元の人が山から採ってきたものを直接売っているらしく、通常の市場ではあまりお目にかかれない品ばかり。

水牛の皮、昆虫、サソリ……そして最も驚いたのは、鮮血が滴るイノシシの胎盤まで並んでいたことです!

山々に囲まれた北タイならではの奥深い食文化を肌で感じながら、目的だった土栗も無事ゲットして、再びチェンマイに向かいました。

北部タイ 食文化
採れたて(?)のイノシシの胎盤に衝撃

ワット・チャマ・テーウィーで女王の足跡をたどる

Wat Cham Thewi|วัดจามเทวี

ランパーンからチェンマイへ戻る途中、ランプーンを通過したので、チャーマテーウィー女王ゆかりの古刹「ワット・チャーマテーウィー」も訪れました。

モーン族の古代王国「ハリプンチャイ」を建国した女王の遺骨は、この寺院にある通称「クークット仏塔」に納められているそうです。

ワット・チャーマテーウィー
チャーマテーウィー女王の遺骨が納められた1000年以上前の仏塔

この仏塔は1000年以上前に築かれたもので、方形基壇の上に段状の層を重ねたピラミッド型で、四面にそれぞれ15体、合計60体もの立仏像が並ぶ壮観な姿です。

隣接する本堂の壁画には、女王の生涯やハリプンチャイ王国建国の物語が描かれています。

チャーマテーウィー女王は、かつてタイ中部を広く支配したドヴァーラヴァティ王国の王女で、北部統一のためにランプーンに派遣され、この地で新たにハリプンチャイを築いたと伝えられています。

ワット・チャーマテーウィー 壁画
本堂の壁画に描かれたチャーマテーウィー女王の即位の場面

ここランプーンで、ドヴァーラヴァティとハリプンチャイ、二つの古代王国の歴史が繋がっていることをようやく理解することができました。

案内してくれたガイドさんの熱量から、チャーマテーウィー女王が伝説的な存在でありながら、現在も北タイの人々に深く敬愛されていることが伝わってきました。

旅の終わりにこの地を訪れたことで、ランパーン観光が単なる寺院回りではなく、古代から続く北タイの物語を辿る旅だったことに気づかされました。

ランパーン観光
古代から続く北タイの歴史を辿ることができた

137ピラーズ・ハウス・チェンマイが叶える、優雅なランパーン歴史旅

今回のランパーン観光ツアーは、137ピラーズ・ハウス・チェンマイ宿泊者だけが体験できるホテル主催のオリジナル日帰りツアー「ランパーン:チーク商人の歴史と馬車(Lampang: Teak Wallahs, History and Horse Carriage)」というプライベートツアーを利用しました。

このホテルは、19世紀末にランパーンで栄えたチーク材産業の中心人物、英国ボルネオ社の社屋として建てられた歴史的建造物をリノベーションしたもの。

137ピラーズ・ハウス・チェンマイ
英国ボルネオ社の社屋を改装した137ピラーズ・ハウス・チェンマイ

当時の英国商館の優雅な雰囲気を残しつつ、モダンなラグジュアリーを融合させた空間は、まるでタイ北部の歴史にタイムトリップしたかのよう。

ツアーでは、ホテルと同じ時代に建てられたチーク邸宅やビルマ様式の寺院を巡り、北タイが世界のチーク貿易で輝いていた往時の物語に触れることができます。

チェンマイに滞在しながら、ランパーンの歴史を深く体感できるのは、このホテル宿泊者ならではの贅沢な旅のスタイルです。

ランパーン観光 ツアー
今回のランパーン観光はホテル宿泊者用のプライベートツアーを利用
ランパーン観光ツアーの詳細 ※2025年6月現在の情報です
ツアー名:「Lampang: Teak Wallahs, History and Horse Carriage」
所要時間:8:00〜18:00
料金:一人7,062バーツ(サービス料・税金込み)
予約方法:私はAgodaで宿泊予約をした後、ホテルに電話してツアーの詳細をメールで送ってもらい、メールで事前に予約しました。料金はホテルで清算しました。
言語:英語、又はタイ語
その他:プライベートツアーなので、空港送迎やコースの一部変更なども柔軟に対応してくれました。

137ピラーズ・ハウス・チェンマイの宿泊記は以下のページに詳しくまとめています。

137 ピラーズ・ハウス・チェンマイ 【宿泊記】137 ピラーズ・ハウス・チェンマイ:歴史香るチーク材邸宅ホテルで過ごす優雅なひととき

まとめ|歴史と文化を深く感じるランパーン観光

今回のランパーン日帰りトリップは、

  • 古代ハリプンチャイから続く歴史遺産
  • チーク産業がもたらした文化的融合
  • 北タイならではの食と人々の暮らし

を一日で体験できる濃い旅でした。

ランパーンには空港もありますが、チェンマイから日帰りで訪れることでホテル選びの自由度も高く、効率的に観光できルのではないでしょうか。

歴史好きや文化探訪が好きな方にとって、ランパーンは訪れる価値がある魅力的な街だと思います。

ランパーン観光
ランパーンは歴史好きや文化探訪が好きな方におすすめしたい

ランパーン観光で訪れた場所の地図

137 ピラーズ・ハウス・チェンマイ 【宿泊記】137 ピラーズ・ハウス・チェンマイ:歴史香るチーク材邸宅ホテルで過ごす優雅なひととき
5/5 - (5 votes)