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若き実力派シェフが率いるモダンタイ料理の名店、ルドゥ バンコク(LE DU)。
シーロム通りの裏通りに佇むこのレストランは、2013年の開業以来、バンコクのガストロノミーシーンを語るうえで欠かせない存在となりました。2016年には「Asia’s 50 Best Restaurants」にランクインし、その名は一躍アジアの美食家たちに知られることになります。
オーナー兼ヘッドシェフの**トン氏は、タイの最高学府とされるチュラロンコン大学経済学部を卒業後、ニューヨークの名門Culinary Institute of Americaで料理を学びました。さらに、三ツ星レストランとして世界的に知られるイレブン マディソン パークやジャン ジョルジュ**で研鑽を積んでいます。
また、ワイン教育機関として権威ある**Institute of Masters of Wine**でも学びを深めるなど、料理だけでなくペアリングにおいても高い専門性を備えています。


こうした華やかな経歴をもつシェフのレストランと聞けば、初めて訪れる人の多くが、大きな期待を胸にルドゥ バンコクの門をくぐるのではないでしょうか。
ところが、実際に到着してまず感じるのは、ある種の“意外さ”かもしれません。
レストランがあるのは、シーロム通りの細い裏路地。決して華やかなエリアとはいえず、道幅も狭く、周囲はやや雑然とした印象です。ルドゥはその一角に建つ一軒家レストランですが、高いコンクリート壁に囲まれ、庭らしい空間もほとんどありません。門を入ると、すぐに店内へと続きます。
内装も非常にシンプルで、いわゆる“豪奢なファインダイニング”を思い描いていると、少し肩透かしを感じるかもしれません。むしろ空間だけを見れば、洗練されたカジュアルレストランといった印象に近いでしょう。
有名レストランで味わうラグジュアリーな夜――そんな先入観は、この瞬間に静かに崩れていくでしょう。


料理を食べて初めてわかるルドゥの本当の実力
どこか拍子抜けした気持ちを抱えたまま、料理を注文します。
メニューはデザートを含めて全12品。コースは、好みの4品を選ぶショートコース(1,690THB+〜)と、7品のテイスティングコース(2,990THB)の2種類です。内容は約3か月ごとに変更されるとのこと。
メニュー表には、イカ、エビ、ビーフといった食材名が英語でシンプルに並びます。それだけを見ると、ここがタイ料理のレストランであることはほとんど想像できません。
せっかくの訪問なので、7品のテイスティングコースを選びました。
最初のアミューズは、スイカのコンソメとスイカのゼリー。澄んだ味わいで上品ですが、いわゆる“タイらしさ”は感じられません。続いて供されたのは冷製の魚料理。見た目は刺身のようでありながら、熟成を施しているのか、食感も風味もまったく異なるものでした。
料理は次々と運ばれてきます。しかしこの時点では、なぜルドゥ バンコクがこれほど高い評価を受けているのか、まだはっきりとは掴めずにいました。


ここまでは、フィリピン人のスタッフがサービスしてくれ、料理を通りいっぺんに英語で説明してくれたのですが、料理の説明をタイ人シェフにしてもらうように頼んでみました。すると、料理の原形になっているタイ料理について説明してくれたため、ようやくルドゥの料理の世界を理解することができました。
ルドゥの料理は、トムヤムクン、ゲーンソム、そしてイェンタフォーに至るまで、私たちのよく知っているタイ料理が、原形をとどめず、姿を全く変え、まろやかで洗練されたソースとなって、メインの素材を引き立てていたのです。その斬新なアイデア、繊細な味付け、素材との絶妙な組み合わせは、写真や文章だけではとうていお伝えできません。
ルドゥは、タイ料理を“解体”し、再構築するレストランなのだと、このとき初めて実感しました。

Raw Squid, pork & squid ball, fermented red tofu 450THB+
米麺に見立てた生のイカそうめんをイェンタフォー風ソースで和えたもの。トッピングのイカのルークチンも絶品。

River Prawn, pork belly jam, shrimp paste and organic rice 850THB+
トムヤムクン風味のソースを添えた川海老のグリルとカオクルックカピのリゾット。わくわくするほど革新的な一皿。

Sustainable Ocean Fish, lotus, sour curry 550THB+
ゲーンソム風のソースを添えた魚のグリル。

30 Days Dry-Aged Beef Tenderloin, sweet chili, roasted eggplant puree 1390THB+
スイートチリソースを添えた熟成ビーフのグリル。付け合わせの焼きナスのピュレとオイスターソースで炒めた野菜も絶品。

Coconut Pannna Cotta, Banana Cheesecake, Sticky Rice Pudding 各350THB+
デザートプレート三種。一見西洋料理風に見えるが、実は様々なタイ菓子を少しずつ組み合わせている。
正直なところ、いわゆる“フォトジェニック”なレストランとは言いがたいかもしれません。華やかな空間演出を期待すると、少し印象が異なるでしょう。
しかし、タイ料理をよく知る方や、その本質的な味わいを探求したい人にとっては、きっと興味深い体験になるはずです。表層的な派手さではなく、味の構造や再解釈の妙を楽しむレストラン——それがルドゥ バンコクなのだと思います。
また、ワインリストは非常に充実しており、料理との相性もよく考えられています。ワインとともにコースを味わいたい方にも、満足度の高い一軒といえるでしょう。
バンコクの美食シーンの現在地を知るうえで、一度は訪れておきたいレストランです。

ルドゥ バンコクの基本情報
LE DU
住所:399/3 Silom soi7 Silom Bangrak Bangkok Thailand
営業時間:18:00~23:00(ディナーのみ、日曜定休)
アクセス:BTSチョンノンシー駅から徒歩3分
ウェブ: https://www.ledubkk.com
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