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タイ南部の秘境、ナコーンシータマラート県カノム
タイ南部の秘境、ナコーンシータマラート県カノム。
手つかずの自然が残るこのエリアは、美しいビーチ、野生のピンクイルカ、洞窟探検、滝巡りと、海と山のアクティビティが一度に楽しめる魅力あふれる場所です。

2025年4月のソンクラーン休暇に、私は初めてこのカノムを訪れました。
滞在したのはカノム・ビーチ沿いにある「Aava Resort and Spa(アーヴァ・リゾート・アンド・スパ)」。

このリゾートが企画するプライベートツアーを利用して、ナコーンシータマラート・カノムの見どころを余すことなく体験しました。
この記事では、その時の様子とともに、特に印象的だったおすすめスポット9選をご紹介します。
ナコーンシータマラート県カノムの位置
Aava Resort and Spa(アーヴァ・リゾート・アンド・スパ)の宿泊記はこちらのページをご覧ください。

ナコーンシータマラート県カノムの見どころ9選
① カノムビーチ
Khanom Beach|หาดขนอม

ナコンシータマラート空港から車で約1時間半。
マレー半島の東海岸に位置するカノムビーチは、全長約9kmにわたって続く長い海岸線が魅力です。
ナーダーン・ビーチやナイプラオ・ビーチなど、複数のエリアに分かれており、どこも静かで落ち着いた雰囲気。
国際ブランドの高級リゾートは少なく、タイ人を中心としたローカル旅行者向けのリゾートが点在しています。
観光地化されすぎていないため、素朴な自然美が保たれているのもカノムの魅力です。
東海岸にあるため、サンセットは見えませんが、朝日が見える他、私の滞在中は満月が海から昇り、月明かりで海面がキラキラ輝いて、とても幻想的な夜の海が楽しめました。

Khanom Beach|หาดขนอม
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② カノムのピンク・ドルフィン・ツアー
Pink Dolphin Watching at Khanom

カノムは、世界的にも珍しい野生のピンクのイルカが見られることで有名です。
正式名称は「シナウスイロイルカ」。東南アジアや香港周辺に生息する種ですが、ここカノムでは高確率でその姿を目にすることができます。
小型のローカルボートで出かける約1〜2時間のドルフィン・ウォッチ・ツアーはとても人気があります。ガイドさんの話では、イルカの遭遇率はなんと90%!

カノムの海岸は入り江になっているため海が穏やかで、イルカの餌となる魚も多く、それが定住の理由ではないかとのことでした。
途中、「パンケーキ・ロック」と呼ばれる独特な地層の岩の絶景ポイントも通過しながら進み、ついにドンサック桟橋付近でピンクのイルカに遭遇。

カメラを構えたものの、動きが早くて撮れたのは背びれだけ…。イルカの顔が映った写真は、ガイドさんに借りたものです。
それでも、海面からひょっこりイルカが現れる姿を探すのは、宝探しのようでとても楽しい体験でした。
※11月〜12月のモンスーンの影響で海が荒れるため、イルカ目的ならこの時期は避けた方がよさそうです。

ピンク・ドルフィン・ボート乗場(バン・カオ・オック桟橋)
Baan Khao Ok Dolphin Pier
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③ モンク・アイランド(ヌイ島)
Monk Island|เกาะนุ้ยนอก

ピンク・ドルフィン・ツアーの途中で立ち寄ったのが、モンク・アイランド(ヌイ島)。
この小さな島には、アユタヤ時代の高僧「ルアン・プー・トゥアット(หลวงปู่ทวด)」が祀られています。
ルアン・プー・トゥアットは数々の奇跡を起こしたと伝えられ、タイ人なら誰もが知っていると言われるほど有名な僧侶です。
例えば、アユタヤへ向かう船に乗っていた時、嵐に遭い食料も水も尽きてしまったそうです。そのとき、ルアン・プー・トゥアットが海に足を浸すと、海水が真水に変わり、皆が助かったという話。
そのため、旅に出る前にルアン・プー・トゥアットにお参りしたり、彼のお守りを持つことで、安全に旅ができると信じられています。

実際にこの島には、潮が引いた時だけ現れる不思議な淡水の井戸があるのです。このため、ルアン・プー・トゥアットがこの島に立ち寄ったのではないかと考えられているそうです。
島そのものは小さく静かですが、精神的な安らぎと自然の神秘を感じられる特別な場所です。

Monk Island|เกาะนุ้ยนอก
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④ コーラル・パゴダ(珊瑚の仏塔)
Coral Pagoda|เจดีปะการัง

ピンクのイルカ・ウォッチングの後に訪れたのは、カノムの名所「コーラル・パゴダ」。その名の通り、珊瑚で造られた非常に珍しい仏塔です。
仏塔は小高い丘の上に建っており、そこからは遠くに海も見渡せます。実際には、土台の部分が珊瑚で造られており、上部は後年に修復されたものだそうです。

この仏塔が築かれたのは、ナコーンシータマラート王国(リゴール王国)の初代国王、シー・タンマソーカラート王(在位1207~1230年)の時代とされており、非常に古い歴史を持っています。
煉瓦のように四角く整えられた珊瑚の塊を積み上げて造られている様子は、以前モルディブの漁村で見た珊瑚の家を思い出させました。

Coral Pagoda|เจดีปะการัง
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⑤ キアン・タレー・シーフード・レストラン
Khiang Talay Seafood Restaurant|เคียงทะเลซีฟู๊ด

ランチは、カノムのビーチサイドにある素朴なキアン・タレー・シーフード・レストランでいただきました。観光客の姿はほとんど見かけず、シンプルで飾らない雰囲気が魅力です。
テーブルに着くと、目の前には青く広がる海。その向こうにはテーン島(Taen Island)、さらに遥か彼方にサムイ島まで望めます。カノムとサムイ島がこんなに近いのかと、あらためて実感しました。

こんな最高のロケーションでのランチは、ある意味とても贅沢な体験です。
この日のメニューは、鱸とココナッツの若芽が入った南タイ風カレー「ケーン・ソム(แกงส้มปลากะพงยอดมะพร้าว)」、オキアミ入りオムレツ「ไข่เจียวกุ้งเคย」、そしてリアン菜の卵炒め「ผัดใบเหลียงไข่」の三品。
なかでも南タイならではのケーン・ソムは絶品で、大満足のランチとなりました。

Khiang Talay Seafood Restaurant|เคียงทะเลซีฟู๊ด
営業時間:8:00〜22:00
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⑥ ターサン公園(天然フィッシュ・スパ)
Natural Fish at Suan Ta San|สวนตาสรรค์ ปลาตอดเท้า

次に訪れたのは、天然のフィッシュスパで人気の「ターサン公園」。
森林の中にある湧き水には、オステオキルス・ワンデルシ(Osteochilus waandersii)というコイ科の魚がたくさん泳いでいます。この魚、なんと人間の皮膚の古い角質が大好物なのだとか。
バンコクでも以前フィッシュスパが流行しましたが、そのとき見かけた魚はもっと小さかった印象。ここにいるのは体長10cmほどもある黒い魚で、正直ちょっとグロテスク…。
水辺に設置されたベンチに腰を下ろし、恐る恐る足を水に浸してみました。
しばらくすると、魚たちが寄ってきて足の裏をつんつん突いてきます。
驚きとくすぐったさで思わず足を動かしてしまうと、魚たちもびっくりして逃げてしまいました。

気を取り直して、じっと我慢していると、ようやく魚がカジカジと角質をお掃除してくれるように。
よく見ると、魚が集まる人とそうでない人がいて、よく歩く人や角質が厚い足の方が人気のようです。
森の木陰で、冷たい湧き水に足を浸すだけでも森林浴になり、心身ともに癒されました。
しかも、入場料はたったの20バーツ! たくさんの地元の人々で賑わっていました。

Natural Fish at Suan Ta San|สวนตาสรรค์ ปลาตอดเท้า
営業時間:9:00〜17:00
入場料金:20バーツ
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⑦ カオ・ワントーン洞窟
Khao Wang Thong Cave|ถ้ำเขาวังทอง

「次は洞窟に行くよ!」
そう言われて連れてこられたのは、カノームの自然が秘める不思議な世界──カオ・ワントーン洞窟でした。
ふらっと立ち寄っただけのつもりが、まさかの大冒険が待っていたのです。
まず最初にヘルメットを装着。
そして、洞窟の入り口を目指して300段以上の急な階段を、山の中腹までひたすら登ります。
かなりの急勾配で、すでにここでひと汗。
ようやくたどり着いた小さな穴、そこが洞窟の入り口です。
かがみながら、真っ暗な洞窟の中へと入っていきます。
内部には、まるで異世界のような空間が広がっていました。
ライトに照らされ浮かび上がるのは、アートのように美しい鍾乳石の造形たち。
その中には、なんと恐竜のような形をした鍾乳石も!

とはいえ、この洞窟ツアー、想像以上にハード。
全行程は約1時間ほどでしたが、狭い通路を這うように進み、時には頭をぶつけながら、滑りやすい岩肌をそろそろと歩きます。
気温は涼しいのに、湿度が高くて汗びっしょり。
地元のガイドさんがしっかり案内してくれるものの、コースはかなり複雑で、「ここではぐれたら、数年前のタムルアン洞窟事件みたいになりかねない…」と、心の中でドキドキしながらの冒険でした。
ちなみにこのカオ・ワントーン洞窟、専門家による正式な調査はまだ行われておらず、地元の人々によって管理されているのだそうです。

Khao Wang Thong Cave|ถ้ำเขาวังทอง
営業時間:9:00〜16:00
入場料:無料(ガイドさんにチップをお渡しすることをおすすめします)
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⑧サメットチュン滝

Samet Chun Waterfall | น้ำตกเสม็ดชุน
サメットチュン滝に行くには、車が転倒するのではと心配になるほど、でこぼこの山道を走り抜けていきます。
車を降りた後は、さらに藪をかき分けながら山道を進み、ようやく滝壺に到着しました。
滝は二段になっており、その間には大きな滝壺が広がっています。

遠くにはかすかに海の水平線も見え、爽快な眺めが広がっていました。
雨量の少ない暑季だったため、水量は少なめで、滝壺の水も少し濁っていましたが、雨季にはこの滝壺が天然のプールのようになり、泳ぐこともできるそうです。
Samet Chun Waterfall | น้ำตกเสม็ดชุน
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⑨土曜限定!カノム・ナイト・マーケット
Khanom Saturday Evening Market

カノム町役場の前の通りは、毎週土曜日の夕方になると歩行者天国に変わり、飲み物やスナックの屋台がずらりと並びます。
ナイトマーケットのすぐそばには、町のシンボルともいえるピンク色のイルカのモニュメントも。
訪れた日はちょうどソンクランの時期で、花柄シャツを着た人たちがあちこちに見られ、より一層お祭りムードが漂っていました。
屋台では、色とりどりのお菓子やスナック、フレッシュジュースなどが売られていて、歩いて見て回るだけでもワクワクします。

テーブルと椅子もたくさん用意されていて、買ったものをその場で食べながら、みんな楽しそうにおしゃべりしていました。
特設ステージでは、地元の人たちによるダンスや音楽のパフォーマンスもあり、会場はとても賑やかです。
屋台を見て歩いているうちに「カノム・チャーク(ขนมจาก)」というタイ菓子のお店を見つけ、「これにしよう!」と思ったら、お店の方が「焼きたてのほうが美味しいから、ちょっと待ってて」と声をかけてくれました。
なんと扇風機で炭火を起こして、その場で焼きたてを作ってくれたんです!
今まで食べた中で、間違いなく一番おいしいカノム・チャークでした!

Khanom Saturday Evening Market
営業時間:17:00〜22:00 土曜日のみ
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まとめ|ナコーンシータマラート・カノムで、海と山の魅力を満喫
ナコーンシータマラート県カノムは、ビーチリゾートの開発が進みすぎていない分、素朴で自然豊かなタイ南部の魅力を存分に感じられるエリアです。
・野生のピンクイルカ
・天然フィッシュスパや滝といった癒しの自然
・未踏の洞窟でのアドベンチャー
・スピリチュアルな伝説や古代寺院
・ローカルな食や人々との出会い
観光地としての派手さはありませんが、だからこそ心に残る旅ができました。
この記事が、ナコーンシータマラート・カノムへの旅行を計画されている方の参考になれば嬉しいです。

ナコーンシータマラート県カノムの見どころ9選のマップ
Aava Resort and Spa(アーヴァ・リゾート・アンド・スパ)の宿泊記はこちらのページをご覧ください。
