ナコーンシータマラート・パクプーン村でローカルライフを体験

ナコーンシータマラート パクプーン

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地元の暮らしと文化を体感できるナコーンシータマラート・パクプーン村

ナコーンシータマラート・パクプーン村(Pakpoon/ปากพูน)は、ナコーン・シータマラート空港から車で約15分ほどの場所に位置し、豊かな自然環境と地元に根ざした伝統的な暮らしが色濃く残る地域です。

ナコーンシータマラート パクプーン
伝統的な暮らしが残るナコーン・シータマラート県のパクプーン村

また、ターペー運河沿いのマングローブの森、ココナッツ農園など、南タイの風土を感じさせる景観が広がっています。

人口は約2万人、多くの住民が漁業に従事しているそうです。

ココナッツ農園
パクプーンのココナッツ農園

この地域は、いわゆる観光地とは異なり、地元住民の暮らしや文化を尊重しながら交流できる「コミュニティベースド・ツーリズム(Community-Based Tourism:CBT)」を体験することができます。

今回は、宿泊していたカノムビーチの「Aava Resort & Spa(アーヴァ・リゾート&スパ)」が主催するツアーを利用して訪れました。

カノムビーチ
2025年4月にカノムビーチのAava Resort & Spaに宿泊

ナコーンシータマラート・パクプーン村の位置

地域主導の観光「コミュニティベースド・ツーリズム(CBT)」とは?

CBTとは、地元の住民が主体となって観光資源を活用し、訪問者を受け入れるスタイルの観光のこと。地域経済への貢献だけでなく、環境保全や文化継承にもつながる持続可能な観光の形として、タイ各地で広まりつつあります。

CBT ココナッツ農家
地元の人々とふれあいながら旅するコミュニティベースド・ツーリズム(CBT)

パクプーン市では、ココナッツ農家訪問やジャングル・クルーズ、地元寺院の見学、郷土料理の試食などを通じて、観光客が地元の人々と自然にふれあいながら、互いに学び合える環境が整えられています。

訪問中は、地元の担当者の方がずっと同行して、道案内をしてくれました。

パクプーン
地元の担当者の方が同行して道案内をしてくれる

歴史ある寺院「ワット・パイサーン・サティット」を訪ねて

ラーマ1世時代の本堂と赤い唇の仏像

パクプーン 寺院
200年以上前に建てられた旧本堂

最初に訪れたのは、アユタヤ時代に創建されたと伝えられる「ワット・パイサーン・サティット(Wat Phaisan Sathit | วัดไพศาลสถิตย์)」。

この寺院には、200年以上前のタイ国王ラーマ1世の時代に建てられた旧本堂が残されており、崩れかけた建物にインドボダイジュやガジュマルの木々が絡みつく、まるで自然と建築が共存するような神秘的な光景が広がっていました。

パクプーン 寺院 
古い建物と樹木が共存する神秘的な光景

本堂に安置されているのは「ルアンポー・パクデーン(赤い唇のお坊様)」と呼ばれる仏像。赤い唇という特徴はビルマ様式の仏像に見られるものです。

旧本堂 仏像
旧本堂に祀られた仏像

かつてラーマ1世の時代は、シャムとビルマは戦争を繰り返していました。その時代に、ビルマのスパイが仏像を持ち込んだものの、赤い唇の特徴によって正体がバレてしまったという逸話も伝えられています。

仏像 赤い唇
仏像の赤い唇によってビルマのスパイの身分がバレたという言い伝えも

パクプーンのココナッツ農園でココナッツシュガー作りを見学

地元農家の知恵と伝統が詰まった甘味料づくり

ココナッツ農園 花の蜜
ココナッツの花の蜜を採取するための小さなケース

次に訪れたのは、地元のデーンさんが営むココナッツ農園。南国らしい青々としたココナッツの木々が広がる中で、花のつぼみに取り付けられた小さなケースを発見。これは、花から蜜を採るためのものでした。

ここでは、伝統的な製法でココナッツシュガーが手作りされています。

ココナッツシュガー
朝から採取したココナッツの蜜を大鍋で2時間も煮込む

朝から採取した蜜を大鍋で約2時間かけて煮詰め、とろみと香ばしい香りが立ち上がったところで、鍋を火から下ろし、専用の道具でさらに丁寧にかき混ぜ、熱いうちに型に流し、冷まして完成。

出来上がったばかりのココナッツシュガーを味見させてもらうと、ふわっと広がるカラメルのような香ばしさと、まろやかな甘みが口いっぱいに広がり、まさに絶品。

お土産に少し分けていただきました。

ココナッツシュガー作り
冷める前に夫婦で手分けして手際よく作業

この農園では、ご夫婦が役割分担しながら手際よく作業を進め、娘さんたちも自然に手伝うという、家庭的であたたかな雰囲気が印象的でした。

ココナッツシュガー 
手作りのココナッツシュガーをお土産に

幻想的なアマゾン・トンネルでマングローブの林をクルーズ

ターペー運河に広がる緑のトンネル

ナコーンシータマラート パクプーン
小さなボートに乗ってアマゾン・トンネルへ出発

パクプーンのハイライトともいえるのが「アマゾン・トンネル(อุโมงค์อเมซอน)」。タイ湾へと流れこむターペー運河沿いに広がるマングローブの森が、緑のトンネルのような風景をつくり出しています。

地元の漁業支援センターの船着場からローカルボートに乗船。最初は広々とした水路を進み、「ยินดีต้อนรับสู่อุโมงค์อเมซอน(アマゾン・トンネルへようこそ)」と書かれた看板のあたりで、細い支流へと入っていきます。

パクプーン アマゾン・トンネル
アマゾン・トンネルの入り口に到着

進むにつれて木々の枝葉が近づき、マングローブが空を覆うように枝を伸ばす幻想的な空間に包まれます。

船のエンジンを止めると、静けさの中に鳥のさえずりが響き渡り、まるで自然に抱かれているような癒しのひとときを味わえます。

マングローブ 緑のトンネル
マングローブの緑のトンネルの中で自然に癒される

運河には魚や貝、エビなど多様な水生生物が生息しており、運が良ければ、伝統的なスタイルで漁をする地元漁師の姿を見ることもできます。

クワームスック・チャオレー市場で地元シーフードランチ

川辺のいかだレストランで味わう南タイの味

ナコーンシータマラート パクプーン
運河沿いのレストランで新鮮なシーフードのランチ

クルーズのあとは、船着場のそばにある「クワームスック・チャオレー市場(ตลาดความสุขชาวเล)」という地元の漁業支援センターに併設されたレストランでランチタイム。

目の前にはゆったりと運河が流れ、川沿いに暮らす人々が小舟で行き交う様子を眺めながら、のんびりとした時間が過ごせます。

ターペー運河 パクプーン
ターペー運河のゆったりとした眺め

この日のメニューは、地元で獲れた新鮮なカニやエビなどのシーフードが山盛り。スパイシーなタレと共に味わいます。

さらには、カニの卵入り蒸しカレー「ホーモック・カイプー」や、ターメリックで風味づけしたナマズの揚げ物「プラードゥック・タレー・トート・カミン」など、南タイならではの料理がずらりと並びました。

パクプーン タイ南部料理
南タイならではの料理がずらり

食後には、地元の方がナコーンシータマラートの伝統菓子「カノム・コー」の作り方を実演してくれました。

もち米粉の生地にココナッツシュガーを包んで茹でるシンプルなお菓子です。茹でたてを一口食べると、中からとろけたココナッツシュガーがあふれ出し、口いっぱいに優しい甘さが広がりました。

パクプーン お菓子作り
ナコーンシータマラートの伝統菓子作りの実演
カノムコー タイ菓子
出来たてが最高に美味しいカノムコー

出家の地「ワット・ターペー(パクプーン)」で心を整える

奇跡の高僧ルアンプー・トゥアットゆかりの場所

ワット・ターペー パクプーン
ターペー運河沿いにある寺院「ワット・ターペー」

最後に訪れたのは、ターペー運河沿いにある「ワット・ターペー(Wat Tha Phae | วัดท่าแพ)」。同名の寺院はいくつか存在しますが、パクプーンの「ワット・ターペー」は特別な意味を持ちます。

というのも、タイでは知らない人はいないと言っても過言ではない、アユタヤ時代の高僧「ルアンプー・トゥアット(หลวงปู่ทวด)」が出家した地として知られているからです。

ナコーンシータマラート 高僧
様々な奇跡を起こしたと伝えられる高僧「ルアンプー・トゥアット」の像

ルアンプー・トゥアットは、航海中に水不足になったとき、海に足を入れると真水に変わったなど、様々な奇跡を起こしたとされ、今日でも多くの人々が彼のお守りを身につけています。

境内には彼の像を祀る小さな祠があり、水路に囲まれたその様子は、まるで小さな島のよう。

パクプーンの人々にとって、この場所は心のよりどころとして大切にされているのでしょう。

パクプーン ナコンシータマラート
ルアンプー・トゥアットの像を祀る小さな祠

まとめ:パクプーンで体験するナコーンシータマラートの素顔

今回の旅では、ナコーンシータマラート県パクプーン村の自然・文化・人々の暮らしに触れることができました。観光地では味わえない素朴な魅力と、地元の人々のあたたかさに包まれた体験は、心に深く残るものでした。

また、初めて「コミュニティベースド・ツーリズム(Community-Based Tourism:CBT)」という、地域の魅力を大切にしながら、観光を通じて持続可能な発展を目指す取り組みも体験することができました。

タイはCBTの先進国の一つとされていて、他にも様々な地域でCBTの取り組みが広がりつつあります。

コミュニティベースド・ツーリズム
地元の人たちと交流するコミュニティベースド・ツーリズム(CBT)

ローカルライフに興味がある方や、ナコーンシータマラートをより深く知りたい方は、ぜひ訪れていただきたいと思います。

今回は、宿泊していたカノームビーチの「Aava Resort & Spa(アーヴァ・リゾート&スパ)」が主催するツアーを利用しました)。ナコーンシータマラート訪問の詳細は、下記のページもあわせて読んでみてくださいね。

Aava Resort Aava Resort & Spa【宿泊記】タイ南部カノムビーチの隠れ家リゾートで過ごす休日 ナコーンシータマラート カノム ナコーンシータマラート・カノムの見どころ9選|海と山の絶景スポットを巡る旅

コミュニティベースド・ツーリズムについてはこちらのサイトもご参考に!

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