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チャオプラヤ沿いの美しいホテル ザサイアム
ザサイアム (The Siam)は、バンコクのチャオプラヤ川沿いにある小規模なブティックホテルです。賑やかなバンコク中心部から少し離れ、周囲にはほとんど何もありません。そんな少し辺鄙な場所に、人目を避けるかのように、美しいホテルが建てられています。
ホテルをデザインしたのは、バンコクを拠点に、東南アジアで数々のリゾートホテルを手がけてきた、アメリカ人建築家ビル・ベンスリー氏。彼のデザインするリゾートホテルは、奇抜な発想と遊び心満載。とても美しくて個性的です。
リゾートホテル気分でステイケーション
ザサイアムはリゾートホテルのように、全室がスイート又はビラスタイルで、ゆったりしています。ホテルの館内には、タイ人のホテルオーナーが収集した数々のアンティークが、まるで博物館のように飾られています。
外出するには少し不便ですが、ホテルにこだわりのある人なら一度は滞在するべき、バンコクを代表するホテルといえます。バンコクの喧噪を忘れ、ゆったりとリゾート気分が楽しめるでしょう。
私はバンコク在住ながら、一度は泊まってみたいと思っていたザサイアム。2021年12月、在住者向けのプランでリバービュースイートに宿泊しました。宿泊体験記とともに、ザサイアムの概要をご紹介したいと思います。
ザサイアムのロケーションと行き方
ザサイアムは、バンコク中央を流れるチャオプラヤ川沿いにあります。チャオプラヤ川沿いには、タイ王宮や暁の寺(ワットアルン)など、バンコクの観光名所が集まっています。マンダリンオリエンタルバンコクやペニンシュラバンコクなど、バンコクを代表するラグジュアリーホテルも、川沿いに建ち並んでいます。
ザサイアムは、観光地やホテルが集中する地域よりもずっと北の方に、ポツンと一軒だけ離れて建っています。ホテルの周囲には、特に有名な観光名所はありません。強いていえば、地元の人たちが訪れる水尾聖娘廟という有名な華人廟があるくらいでしょう。
ザサイアムまでは、ホテルの送迎船かタクシーで行くしかありません。事前に予約が必要ですが、ホテルの送迎船は、BTSサパーン・タクシン駅そばのサトーン桟橋から乗ることができます。サトーン桟橋からホテルまで、送迎船で片道30分ほどかかります。スーツケースをもって移動するなら、車の方が便利でしょう。
トロピカルな美しいロビーでチェックイン
ホテルに到着すると、まずエントランスロビーでチェックイン。白と黒を基調にしたロビーには、温室のように大きなシダの葉が繁っています。天井がガラス張りになっていて、とても明るい雰囲気です。
スタッフの方に案内されて客室棟へ移動。客室は3階建てで、こちらも中央が吹き抜けになっています。まるでジャングルのように大きな熱帯植物が鬱蒼と茂っていて、非日常感たっぷりです。
わずか39室のザサイアムの客室
ザサイアムの客室数はわずか39室。29室のスイートルームと10棟のビラだけです。客室棟の2階と3階がスイートルームになっていて、1階部分はライブラリーなどのパブリックスペースです。一軒家風のビラは客室棟からは離れた川沿いに建てられています。
今回泊まったのは、客室棟の3階にあるリバービュースイートでした。後で案内していただいたのですが、客室は最も小さいサイアムスイートでさえ、たっぷりと広さがあり、エレガントな雰囲気に溢れています。
リバービューといっても、川の眺めはそれほどよくありません。客室棟は川から少し離れてるからです。リバービューのお部屋は、2階よりも3階の方が景色が少しよくなるようです。
10室しかない一軒家タイプのビラの方は、2階建てになっています。2階部分から素晴らしい川の眺めを楽しむことができます。1階部分には小さな庭があって、まるで小さな別荘のようです。室内の調度も本当に美しく、まさにバンコクの究極の隠れ家といえるでしょう。
アユタヤから移築されたタイ伝統家屋
ザサイアムの敷地内には、アユタヤから移築されたという伝統的なタイの木造建築の建物があります。タイシルク王として有名なジム・トンプソン氏の友人が住んでいた、100年以上前のチーク材で出来た美しいお屋敷です。
この伝統家屋は、タイ料理レストラン「チョーン」と「コニーズコテージ(Conny’s Cottage)」という名前のプール付きのビラとして使用されています。タイの伝統家屋がスタイリッシュなホテルに不思議とマッチしています。
残念ながら、2021年12月に訪問した時は、コニーズコテージは修復中で、宿泊することができませんでした。レストランの方も、屋外のテラス席しか利用することができませんでした。
ただひたすらホテル滞在を楽しむ
今回はステイケーションプランを利用しました。アーリーチェックインとレイトチェックアウトで、ゆったりと長い時間滞在できます。朝食が2回含まれていました。
お部屋に荷物を置くと、すぐに朝食会場のレストランへ。タイの伝統家屋を利用したレストラン「チョーン」のテラス席で頂きます。
朝食はオーダー式ビュッフェ。アラカルトメニューから好きなものが好きなだけ選べます。チャオプラヤ川の眺めを見ながら、アボカドトーストを頂きました。
朝食後はまたお部屋に戻って、何をすることもなく、ひたすらのんびりと過ごしました。窓の外にちらりと見えるチャオプラヤ川。クラシカルでエレガントな室内。一歩も外に出ず、お部屋の中で過ごす贅沢。バスルームもとても広くて優雅です。
ホテル内のアンティークコレクション
ホテルの館内には、まるで博物館のようにアンティークの家具や置物や印刷物が惜しむことなく飾られています。もし興味があれば、アンティークを見学して楽しむこともできるでしょう。客室棟の1階にはアンティークがずらりと並ぶライブラリーやラウンジがあります。
ザサイアムのホテルのオーナーは、タイ人のホテル経営者スコソン家の2代目です。親世代はBTSパヤタイ駅のそばにあるスコソンホテル(旧サイアムシティホテル)を経営。4人兄弟の子世代が協力してこのザサイアムを創り上げたそうです。兄弟の1人が熱狂的なアンティーク収集家なんだとか。
サンセットを見ながら夕食前の一杯
夕食の前に川沿いの桟橋にあるバースペースでビールを一杯飲みました。
ちょうど、チャオプラヤ川に架かるクルントン橋の向こうに沈む夕陽が美しくみえます。その日はちょうど空が真っ赤に染まり、最高のサンセットタイムを楽しむことができました。
その後、チョーンレストランで軽くディナーをいただきました。まずは、お店の方がおすすめしてくれたカリカリに揚げた鴨肉と未熟マンゴーのスパイシーなサラダ。あとは定番の「トムカーカイ」というチキンのココナツミルクスープを注文しました。丁寧に味付けされていてとても美味しかったです。
コロナ禍のザサイアムのレストラン
ザサイアムのレストランは、タイ料理の「チョーン」とティーラウンジ「ザストーリーハウス」の2カ所あります。
カフェラウンジ「ザストーリーハウス」
「ザストーリーハウス」は、以前は「カフェチャ」という名前のカフェでした。アフタヌーンティーがとても人気です。
ところが、コロナでザサイアムがしばらく休業している間に改装され、「ザストーリーハウス」と名前が変わっていました。以前と変わらず、アフタヌーンティが人気ですが、洋食の食事メニューもあるようです。
ただ、私が宿泊した時は、「ザストーリーハウス」はアフタヌーンティーやカフェとしての利用のみ。洋食メニューは「チョーン」で提供されていました。
「ザストーリーハウス」については、別のページで詳細をまとめています。
ザストーリーハウス : ザ サイアム ホテル のカフェタイ料理レストラン「チョーン」
「チョーン」はタイの伝統家屋を利用した素敵なタイ料理のレストランです。
以前は建物の中で食事をいただくことが出来ましたが、今回は屋内には入れてもらえませんでした。朝食と同様、夕食時も屋外のテラス席だったのです。
テラス席は、日が暮れるととても暗いし、蚊に猛烈に刺されるしで、あまり快適ではありませんでした。朝食やランチは屋外でも大丈夫ですが、夕食時はテラス席よりも、お部屋でルームサービスを頼んだ方がよかったのではないかと思いました。
もしかしたら、コロナ禍の一時的な対応で、またいつか屋内で食事ができるようになるのかもしれません。
2日目の朝食後はオピウムスパへ
翌朝はリバーサイドの「チョーン」レストランで2度目の朝食をいただきました。客室から川沿いに出る通路には、たくさんのプルメリアの木が植えてあります。緑が多くて、都心とは思えない清々しい雰囲気です。
2日目の朝食はホテル特製のグラノーラとオムレツを注文。一品のポーションは少なめだったので、いろいろ選べてよかったです。
朝食を食べてホテル内を少し散歩した後は、オピウムスパでトリートメントを受けました。ザサイアムのオピウムスパは、知る人ぞ知る、バンコクでもトップクラスのスパです。
コロナでお得なパッケージがあったので、2時間半の贅沢なフルコースを選びました。詳細は別のページにまとめてありますのでご参考に。
オピウムスパ :ザサイアムのホテルスパスパですっかり心身がリフレッシュされ、いよいよチェックアウト。今回は少し長めに滞在できて、本当にゆっくりと過ごすことが出来ました。どこにも行かず、ホテルの中だけで過ごしましたが、本当に満足。ロケーションはよくないし、一般的な旅行者向きではないかもしれません。でも、もしホテルにこだわりのある方なら、バンコクで一度は泊まってみるべきホテルだと思います。
ザサイアムの詳細情報
The Siam
住所:3/2 Thanon Khao, Vachirapayabal, Dusit, Bangkok 10300, Thailand
アクセス:BTSパヤタイ駅からタクシーで約20分
BTSサパーンタクシン駅近くのサトーン桟橋にボートでの送迎を頼めば、桟橋からホテルまで約30分のチャオプラヤ川クルーズも楽しめますよ(事前予約要)