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パンガー県の北端、ラノーン県との境に近いアンダマン海に浮かぶプラトーン島。タイに20年以上暮らす私ですら、その存在を最近まで知りませんでした。Googleマップでバーチャル島めぐりをしていた時に偶然見つけたこの島に、ソンクランの連休を使って3泊4日で滞在してきました。
宿泊先は、島唯一のリゾート「ババ・エコロッジ(Baba Ecolodge)」。4つ星の肩書きを持ちながら、エアコンなし、ホットシャワーなし、WiFiはレセプションエリア限定という、ちょっと覚悟のいる宿です。ですが、結論から言えば、これは一生記憶に残る旅となりました。

ババ・エコロッジの宿泊情報
場所:プラトーン島(パンガー県)
客室数:21棟
営業期間:11月から4月(雨季は休業)
アクセス:ラノーン空港またはプーケット空港より送迎あり
※料金・条件は各予約サイトにてご確認ください。
辿り着くことが、すでに旅の始まり
ホテルへのアクセスはバンコクから二段構えです。まずドンムアン空港からエアアジアでラノーン空港へ。ラノーン空港に降り立つと、ホテルの専用バンとドライバーがすでに待機していました。4号線を1時間15分ほど南下し、クラブリーにあるリゾート用の桟橋へ。桟橋にはちょっとしたコーヒーショップやトイレも整備されており、乗り換えの拠点として十分な設備が整っています。

ここからホテルの小さなボートに乗り換え、プラトーン島へ向けて出発します。湾を抜けると、こんもりと緑に覆われたラー島が目の前に現れました。

プラトーン島はラー島と対照的に山のない平坦な島で、ラー島の東側を南下し、両島の間の海峡を抜けるとアンダマン海に出ます。波が少し高くなってきたところで、ボートはさらに島の西岸を南下。

やがてビーチが見えてきました。岸に近づくにつれ、ホテルのスタッフが遠くから手を振っているのが見えます。その姿に、長い船旅の疲れが一気に吹き飛びました。
桟橋はありません。船は少し沖合に停まり、海の中を歩いてビーチに上陸します。あらかじめ聞いていたのでサンダルと短パンで備えていましたが、それでも到着という行為そのものが、ここがいかに「選ばれた旅人のための場所」であるかを物語っていました。

覚悟と工夫が生む、意外な快適さ
チェックイン時に改めて案内された設備のスペックには、正直なところ動揺しました。エアコンなし、ホットシャワーなし、WiFiはレセプション棟のみ。4つ星の表示を信じていた身としては、「何か、思ってたのと違う…」という戸惑いが先に立ちます。

ですがコテージに実際に足を踏み入れると、少しずつ腑に落ちてきました。天井部分に設けられた大きな隙間は、エアコン不要の通気設計そのものです。シーリングファンと扇風機を組み合わせれば、ソンクランの暑季ピーク期でも夜は思いのほか過ごしやすく感じられました。虫の出入りは自由ですが、蚊帳と蚊取り線香が用意されており、滞在中に室内で蚊に悩まされることはありませんでした。(但し、屋外は虫除け必須です!)

オープンエアのシャワールームは水のみです。「猿が物を持ち去る」という警告を受けてからは、洗面道具を毎回持ち込み・持ち出しする小さな習慣ができました。ドライヤーもないので、シャンプーは夕方の明るい時間に済ませて自然乾燥、朝晩のシャワーはさっと済ませます。不便さの中に、自分なりのリズムが生まれていきました。

携帯の電波はほとんど届かず、WiFiもレセプションまで行かなければ使えません。強制的なデジタルデトックスです。最初は不安を感じましたが、いつしかそれが心地よくなっていきました。

テラスから海を眺める、という贅沢
私が滞在したのはビーチフロントの小さなコテージでした。コテージは敷地内に21棟あり、ホテルの中央の通りを挟んで海側と陸側に分かれています。興味深いのは、棟ごとに異なるオーナーが所有する分譲スタイルで、そのためデザインも間取りもそれぞれ異なることです。ホテルオーナーはドイツ人で、各コテージのオーナーの多くもヨーロッパ系だといいます。

このコテージの最大の価値は、海が目の前に広がるテラスにあります。波の音が常に聞こえ、アンダマン海の風が通り抜けるそのテラスで、本を読んだり、ただ海を眺めたりして過ごしました。「何もしない」ことがこれほど充実して感じられたのは、本当に久しぶりのことでした。

ちなみにホテルが開業したのは2004年、津波が島を襲う3年前のことだといいます。その後、津波によって施設のすべてが流失しましたが、再建されて今に至ります。20年以上の歴史を持つこのリゾートに、日本人ゲストは私を含めてたった2人しかいないそうです。バンコク在住歴20年を超える私でさえ最近まで存在を知らなかったのですから、「マイナー」という表現では足りないかもしれません。

ビーチフロントのコテージ(Sea Front House)は早めの予約がおすすめです。(営業期間:11月〜4月)
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食事と、旅人たちとの出会い
食事はクラブハウスとビーチバーを中心に提供されます。コテージからクラブハウスまでは、朝夕の涼しい時間帯なら裸足でビーチを歩いて行きました。その時間が、滞在中の小さな楽しみのひとつになっていました。

朝は洋食とタイ料理のビュッフェ、ランチは一品料理、ディナーは日替わりのタイ料理です。
ゲストの大多数が西洋人のため、タイ料理の辛さは控えめに調整されています。辛さに慣れた筆者には最初こそ物足りなく感じましたが、翌日から辛さをリクエストするようになりました。


ビーチバーでは手作りピザが好評で、グルテンフリー対応も可能です。潮風を感じながら食べるピザは、素朴でありながら記憶に残る味でした。

小規模なリゾートのため、食事の時間になれば自然と滞在客の顔ぶれがそろいます。会話が生まれ、いつしか気さくな仲になっていきます。今回の滞在客はフランス人、ベルギー人、ドイツ人のカップルやファミリーなど、こんな辺境の島にわざわざ訪れるだけあって、旅慣れた人ばかりでした。私が知らないタイの秘境情報を教えてくれる人もいれば、互いのお気に入りの場所を語り合うこともありました。
ソンクランを島で迎えるという体験
今回はソンクランの連休を利用した滞在だったため、思いがけないイベントが加わりました。朝から仏教僧を招いたソンクランの儀式が行われ、午後からは水掛けパーティーへと移行しました。

西洋人の子どもたちが、島で暮らすスタッフの子どもたちと一緒になって笑い声をあげて走り回る光景は、言葉も国籍も関係なく、ただ水掛けを楽しむ人間の原初的な喜びに溢れていました。筆者も久しぶりに大声をあげてはしゃぎました。旅先でこういう瞬間に立ち会えることの幸運を、改めてかみしめました。

サバンナと、帰路の車窓
プラトーン島の名物は「タイのサバンナ」と称される草原地帯です。ホテル主催のサバンナツアーと隣にあるラー島ツアーに参加し、スタッフの案内で島の自然と深く向き合いました。この体験については、別の記事で詳しくご紹介したいと思います。


最終日、帰路は引き潮でボートがビーチに近づけない時刻だったため、ホテルの車に乗り込み、島の北端にある水深の深い地点まで移動することに。内陸のサバンナを横切り、長いビーチへと続く風景です。ビーチを車で走るという経験は初めてで、潮風と爽快感が記憶に刻み込まれました。
来る時は海から、帰る時は陸から。ひとつの島で二通りのアプローチを体験できたことも、この旅のユニークな記憶となりました。

この不便さは、ここにしかない贅沢
エアコンなし、ホットシャワーなし、WiFiなし。現代の旅行基準で言えば「不便」に分類されるこのリゾートが、なぜ西洋人の旅慣れたゲストたちに20年以上にわたって選ばれ続けているのか。滞在を終えた今、その答えがはっきりと見えてきます。
ここには、整備された快適さでは決して買えないものがあります。静寂、自然の気配、人とのつながり、そして「自分が地球上のどこか遠い場所にいる」という確かな感覚です。スタッフのきめ細かなサポートと、ヨーロピアンのセンスで設えられた空間が、ワイルドな環境を「ちゃんとした旅」として成立させています。ただ安いバンガローとは、根本的に別物です。

タイには数え切れないほどの島があります。その中でプラトーン島とババ・エコロッジを選ぶということは、観光地化された便利さから意識的に距離を置くという選択でもあります。もし「タイでまだ行っていない場所がある」という感覚をお持ちなら、この島はその答えのひとつになるのではないでしょうか。

ババ・エコロッジの基本情報
Baba Ecolodge
住所:131, Ko Phra Thong, Kuraburi, Phang-nga 82150 Thailand
アクセス:ラノーン空港またはプーケット空港よりホテル手配の送迎(要事前予約)/クラブリーのリゾート専用桟橋からボートで約1時間
営業期間:11月〜4月(雨季はクローズ)
公式サイト:babaecolodge.com
ババ・エコロッジの宿泊情報
※料金・条件は各予約サイトにてご確認ください。
タイランド画報 (ThailandGaho) 