※当サイトにはアフィリエイトリンクを含むページがあります。リンク先の予約サイトでホテルやツアーを予約された場合、当サイトが紹介料を受け取ることがあります。
サイアム・エリアのアーバンリゾートホテルとして人気のサイアム・ケンピンスキー・ホテル・バンコク。このホテルのシグネチャーレストラン「Sra Bua by Kiin Kiin(サブア)」は、2018年から2023年までミシュランスター1つを獲得し、現在もミシュランガイドに掲載され続けるモダンタイキュイジーヌの旗手です。ショッピングモールが林立するサイアムでは、フランチャイズの人気店は多くても、料理の思想にこだわるガストロミー体験ができるレストランは、そう多くありません。先日ホテルに宿泊した際、ディナーに訪れました。その体験についてまとめました。
サブア(Sra Bua)とは?
「Sra Bua(サブア)」はタイ語で”蓮池”を意味します。
店内には、まるでガーデンのように睡蓮の浮かぶ池がいくつもあります。これは単なるインテリアではありません。サイアム地区の行政上の地名はパトムワン(Pathumwan)。「パトム(ปทุม)」はタイ語で蓮を意味するのですが、まだサイアムが開発されるずっと以前、この一帯が蓮池の広がる郊外の地だったことに由来します。ケンピンスキーの敷地と隣り合うワット・パトムワナーラーム(Wat Pathum Wanaram)の名にも、同じく蓮の文字が入っています。店名も、池のインテリアも、この土地の記憶に根ざしているのです。

サブアの原点は、コペンハーゲンのタイ料理店「Kiin Kiin」にあります。創設者のデンマーク人シェフ、Henrik Yde-Andersen氏は2000年にタイを訪れ、各地の伝統料理に魅了されて3年間滞在。帰国後にKiin Kiinを開業し、わずか2年でミシュランスターを獲得しました。その後、バンコクで偶然ケンピンスキーのチームと出会ったことがきっかけとなり、サイアムに「Sra Bua」が誕生します。

“伝統タイ料理を現代的に再構築する”。それがサブアのコンセプトですが、その言葉は「奇抜さを競う」という意味ではありません。タイ料理特有の香り、甘・辛・酸・塩のバランス、地方料理の個性を大切にしながら、現代的な技法とプレゼンテーションで再解釈する。デンマーク発の視点がタイに里帰りした、いわば「逆輸入型」のタイ料理が体験できます。

ディナーの始まり|まずはソファ席でアミューズ
ディナー当日、案内されたのは、ダイニングテーブルではありませんでした。まずはソファ席へ。

お茶とともに運ばれてきたのは、豚皮を揚げたケープムーを砕いてナムプリックヌン(北タイの青唐辛子ディップ)を包んだ一口料理。続いて、タイ漆器に盛り付けられた一口サイズのアミューズ2種。どちらもタイ料理の代表的なカレー風味を残しています。

最後にスタッフが目の前でミアンカム(ビンロウの葉に具材を乗せていただく北タイの前菜)を仕上げてくれます。合計3品のアミューズが、次々と洗練されたプレゼンテーションで供されました。
料理を待つ時間というより、サブアの世界観にゆっくりと引き込まれていく時間、といったほうが近いエンターテイメント性の高い演出でありながら、タイ料理の伝統素材をきちんと使っているところに、このレストランの姿勢が早くも現れています。

キッチンツアー|料理人の物語へ
アミューズの後、スタッフに案内されてキッチンへ。これもサブアのディナー体験の一部です。
キッチンの壁には、タイ全土の地図が貼られていました。使用している食材の産地が書き込まれた地図です。どのハーブはどの山から、どの魚はどの海からと、料理の背景にある「タイの地」が、視覚的に示されていました。
さらにもう一枚。コペンハーゲンのKiin Kiinで、Henrik氏と現在のヘッドシェフが並んで立つ写真が貼られています。サブアの料理が持つ思想の系譜が、キッチンの壁に静かに記録されていました。シェフに挨拶して、ダイニングテーブルへ。料理をいただくための心の準備が整えられる時間でした。

ダイニングテーブルへ|5品コース体験
いよいよダイニングの席へ。今回は5品のディナーコースに、シグネチャーのトムカースープを追加で注文しました。スープ、サラダ、スターター、お肉料理、デザートの5品で、それぞれ2種類から1品を選ぶ形式です。
前菜|キャビアと蓮の花
最初に運ばれてきたのは、蓮の花に盛られたキャビアの冷製でした。タイ料理にキャビア?と思われるかもしれませんが、近年タイ国内でもキャビア生産が盛んになっており、高級レストランでの使用は珍しくありません。まだコース料理に至ってないのに、すでに4品というボリューム感に、コースの密度を感じました。

スープ|サイフォンで注がれるトムクローン
コーヒーのサイフォンを使ってテーブルでスープが注がれる、視覚的にも印象的な一皿。ただ、演出よりも味が記憶に残りました。スモークした魚の出汁を使った本格的なタイ料理の風味で、スパイシーな料理に慣れている私でも「非常に辛い」と感じるほど。直前まで火にかけられていたためか、熱々の温度がスパイスの濃度をさらに引き上げていました。

サラダ|パイナップルで仕上げる魚のヤム
くり抜いたパイナップルを器に見立て、スタッフが目の前で具材を混ぜ合わせてくれるスタイル。タイのスパイシーサラダ「ヤム」をベースに、生の魚とパイナップルを使ってセビチェ風に仕上げてあります。こちらも容赦なくスパイシー。辛いものが苦手な方は、予約時または着席時に伝えておくことをおすすめします。

シグネチャー|3種きのこのトムカースープ
サブアを代表する一皿。一般的なトムカーは鶏肉が使われることが多いですが、ここではモリーユ茸、椎茸、ブラックトリュフの3種類のきのこを組み合わせた濃厚な仕立て。モリーユ茸はカオヤイ産なのだそうです。ココナッツミルクの甘み、レモングラスの香り、ライムの酸味とキノコの香りが絶妙な組み合わせです。この時点で、お腹は相当なボリュームに達していました。

スターター|イカ墨のバジルライス
メニューにある「バジルライス」という言葉から想像していたものとは、まるで別の料理が運ばれてきました。真っ黒なお皿に真っ黒な塊。黒いカバーを取り除くと、その下に卵の黄身が顔を出します。イカ墨のリゾット風に、ごく小さく切ったイカの切り身が入っており、卵黄を崩しながらいただきます。バジルの濃厚な風味がかすかにタイ料理らしさを示しますが、これはタイ料理という枠を大きく超えた創作料理。しかしその完成度は高く、想定を裏切られる驚きも含めて非常に印象的な料理でした。

メイン|炙り演出のビーフカレー
最後の料理は、サブアのロゴが刻まれたカバーをバーナーで焼き払う演出から始まります。炎が消えると、その下に美しく盛られたビーフと白菜のタイカレーが現れました。
実はこの日、体調が万全ではなく、メインを全て食べることができませんでした。持ち帰って翌日温めていただいたのですが、これが驚くほど美味しかった。お肉の火入れは絶妙で柔らかく、スパイスを纏ったご飯が濃厚なカレーと溶け合う。ディナー当日はお腹がいっぱいで本来の味わいに集中できませんでしたが、空腹の状態で改めて口にして、この料理の完成度をようやく正しく理解できた気がしました。

デザートとホスピタリティ
通常のデザートはアイスクリームだったのですが、体調を考えてフルーツへの変更をお願いしたところ、快く対応してくださいました。
運ばれてきたフルーツプレートには、「Welcome Thailand Gaho To Sra Bua」というメッセージが添えられていました。予期していなかったので、とても感動しました。私の体調を気遣って、変更だけではなく静かに配慮していただいたことも嬉しかったです。

締めのプティフールは、まるで宝探しのように、トレイの中から”食べられる”お菓子を探すスタイル。小さなサプライズが続く、楽しいコースでした。

唯一の心残り|次はランチで再訪したい
実は、この日に限って、体調が万全でなかったことがとても残念でした。コースは想像を超えるボリュームと密度で、健康な状態であっても少食の方にはかなりの量だと思います。
それでも翌日、持ち帰ったカレーを口にして、あらためて料理の完成度に驚かされ、「次こそ万全の状態で訪れたい」と思いました。サブアのランチは、量が少なめの3品コースも用意されています。次回はゆっくりと、空腹と体調を整えて、ランチに行きたいなと考えています。

サブアの基本情報
Sra Bua by Kiin Kiin
住所:Siam Kempinski Hotel Bangkok 内(ラマ1世通り991/9)
アクセス:BTSサイアム駅より徒歩5分
公式サイト:srabuabykiinkiin.com
サイアム・ケンピンスキー・ホテル・バンコクの宿泊情報
※料金・条件は各予約サイトにてご確認ください。
タイランド画報 (ThailandGaho) 