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ワイヤレス通りは、高層のオフィスビル、高級ホテルや高級レジデンスが立ち並ぶバンコク屈指のラグジュアリーなエリアです。また、バンコク屈指の大使館街としても有名で、日本大使館やアメリカ大使館をはじめ、多くの大使館が集まる国際的な通りでもあります。バンコクを代表するホテルも多いため、旅行者として滞在する方も多いのではないでしょうか。このエリア全体のホテル事情は、バンコク・チットロム&プルンチットガイドでも詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。

一般的なバンコクのイメージを覆すような近代的なエリアを散策してみると、高層ビルのすぐ隣に、時が止まったような老舗レストランがあり、さらには大使館や王族ゆかりの建物が現れます。ワイヤレス通りは新しい街ではなく、バンコク近代化の歴史をそのまま映した通りでした。今回は、そんなワイヤレス通りを実際に歩いて、その歴史や見どころ、そしておすすめの休憩スポットをご案内したいと思います。最後にワイヤレス通りの名前の由来となった場所にも立ち寄ります。
ワイヤレス通り散策の基本情報
所要時間:約4時間(休憩込み)
距離:約2.5km
おすすめの時間帯:午前中、または夕方
歩きやすさ:★★★★★
途中の休憩スポット:3か所
ワイヤレス通りの位置
ワイヤレス通りの歴史
ワイヤレス通りは、ペッブリー通りとラーマ四世通りを南北に結ぶ約2.5kmの通りです。北側はBTSプルンチット駅、南側はMRTルンピニ駅が最寄りで、寄り道をしなければ40分ほどで歩くことができます。
このエリアの歴史は、19世紀前半のラーマ三世時代に掘削されたセンセープ運河から始まります。当時のバンコクでは水路が主要な交通手段で、センセープ運河は東西を結ぶ重要な交通路でした。その後、ラーマ四世時代の1857年にラーマ四世通りが整備され、運河と道路を組み合わせた近代的な都市開発が進められます。センセープ運河とラーマ四世通りを結ぶワイヤレス通りの原型もこの頃につくられたと考えられ、現在も残る三車線の特殊な道路構造は、道の両脇に水路が流れていた名残です。1961年に撮影された古い写真にも、その水路が確認できます。

1913年には、この通り沿い(現在のワンバンコクの辺り)にタイ初の無線通信局が建設され、これが「ワイヤレス通り(タイ語でウィタユ)」という名前の由来となりました。1915年ごろから、中華系タイ人貴族であったナイラート一族によるプルンチットエリアの土地開発が進み、王族や富裕層の邸宅が立ち並ぶ高級住宅街へと発展。1922年には英国大使館が移転したことを契機に各国大使館が集まり、現在の「大使館街」として知られる国際色豊かな街並みが形成されました。

現在では高級ホテルや商業施設が並ぶラグジュアリーなエリアですが、その背景には、バンコク近代化の歩みが今も息づいています。今回は、その歴史を感じながらワイヤレス通りを歩いてみましょう。
BTSプルンチット駅〜センセープ運河(往復30分)
それではワイヤレス通りの散策を開始しましょう!このエリア開発の始まりとなった北側から歩いて行きます。
BTSプルンチット駅を出発して、スカイウォークからセントラルエンバシーに入ります(セントラルエンバシーの詳細はこちらの記事でもご紹介しています)。

また、セントラルエンバシーと同じ建物にあるパークハイアットも、このエリアを象徴するホテルのひとつです。宿泊記はこちらの記事でご紹介しています。
セントラルエンバシーからワイヤレス通りに出て少し歩くと、英国大使館の跡地があり、以前はクラシカルで美しい英国大使公邸があったのですが、ついに取り壊されてしまい、セントラル・エンバシーの拡張開発が進んでいます。

続いて北に歩くと(5分)、ナイラートパークがあります。このプルンチットエリアを開発した一族の敷地内には、ナイラートのチーク材のお屋敷が博物館として公開されています。

かつての広大な敷地は切り売りされて小さくなったものの、それでも緑あふれる庭園が広がり、都会のオアシスのような存在です。敷地内には最近開業したアマン・ナイラートやモーベンピックBDMSウェルネスリゾートのほか、サマンタオやマメゾンといったカフェ・レストランなどもあります(これらのお店については別記事でも詳しくご紹介しています)。

ナイラートパークを出て北に向かうと(5分)、センセープ運河が見えてきます。ウィタユ橋のたもとから運河の桟橋に降りてみました。近代的なワイヤレス通りから一気にローカル感あふれる雰囲気に変わり、不思議な感覚です。ここから船に乗れば、渋滞知らずで旧市街まで移動することもできます。


橋の下を通ってワイヤレス通りの反対側に渡ると、最近建てられた大きなコンドミニアムが並んでいます。中には「ザ・エンバシー」と大使館を意識したコンドミニアムもあります。
少し歩くとスイス大使館が見えてきました。英国大使館が移転してしまった今、この北側のエリアに唯一残る大使館です。さらに歩いて、最初のBTSプルンチット駅に戻ってきました。

休憩スポット1 トビーズ(Toby’s)
ここでちょっとカフェ休憩。BTSプルンチット駅のそばにある「トビーズ(Toby’s)」に立ち寄りました。元々スクンビットエリアにあった人気のカフェですが、数年前にここに支店ができました。ガラス張りの明るい店内はおしゃれで、いつも観光客や在住の人たちで賑わっています。


BTSプルンチット〜ルンピニ公園(片道20分)
今度はプルンチット駅から南方向に歩いていきます。まず目に入るのが、オークラ・プレステージ・バンコクも入るパークベンチャービル。このビルにはハンガリー大使館が入居しています。その先には、アテネホテルが見えてきます。ホテルの敷地にあるアテネタワービルには、ポーランド大使館が入居。
アテネホテルは、以前ラーマ5世のワラヤアロンコーン王女の住むカンタワート宮殿があった場所ですが、すでに取り壊され、現在はホテルのミーティングルームにその宮殿の名前が残るのみとなっています。

道路の反対側には、アメリカ大使公邸の広大な敷地が見えてきます。元々は貴族の邸宅で、現在は公式行事などに使用されているそうです。

さらに歩いていくとベトナム大使館があり、その先のIHG系のホテルインディゴの隣にオールシーズンズプレース(All Seasons Place)という大型の複合オフィスが見えてきます。ここにはオフィスビル、コンラッドホテル、レジデンスなどがあり、アラブ首長国連邦、南アフリカ、ニュージーランド、ウクライナ、イタリアと複数の大使館が入居していて、ワイヤレス通りらしい国際的な一角です。

オールシーズンズプレースの向かい側には、アイルランド大使館が入居するビルがあります。
その隣には、オランダ大使公邸がありますが、2026年にこの敷地を売却するというニュースがあり、英国大使館と同様、緑に囲まれたクラシカルな公邸が取り壊されてしまうのではないかという不安な思いで見守っています。

オールシーズンズプレースのすぐ隣にあるウィタユ・ボックス(通称ロレックス市場)という市場は、お昼時には周辺のオフィスで働く人々で賑わいます。その市場の隣にひっそりと佇む門は、ラーマ5世のランシット王子の宮殿として建てられた「ウィタユ宮殿」への入り口で、現在も王族の末裔が暮らしているそうです。

さらに南に歩くと(5分)、ワイヤレス通りの本命ともいえるアメリカ大使館があります。領事館、大使館、建設中の別館、大使公邸を含めるとかなりの規模です。ただし警備が厳しく、写真撮影も禁止されているので注意してくださいね。

米国大使館を過ぎるとしばらく大使館はなく、シントーン・タワーというオフィスビルがあります。ここからランスアン通りに通り抜けることもできます(ランスアン通りについてはまた別記事でご紹介する予定です)。
さらに歩くとサラシン通りとの交差点に出て、その先にルンピニ公園が見えてきます。ちょうどプルンチット駅からワイヤレス通りの半分ほどを歩いたことになります。

休憩スポット2 ニールズ・ベイク・ショップ
ここで再度休憩です。タイ料理レストラン「オシャ(Osha)」の入るビルの横道を少し入ったところにある「ニールズ・ベイク・ショップ(Niel’s Bake Shoppe)」に立ち寄りました(オシャについてはこちらの記事もご覧ください)。

1969年創業の老舗ステーキハウス「ニールズ・タヴァーン(Niel’s Tavern)」に併設されたカフェで、店内は品のいい年配のタイ人客で賑わっていました。ニールズ・タヴァーンと合わせて、このワイヤレス通りに昔から暮らす馴染み客の存在を感じさせてくれます。どこか昭和な雰囲気も漂うこのカフェは、写真映えする人気カフェとは一線を画しますが、ワイヤレス通りの昔ながらの姿を残す貴重な場所です。

ルンピニ公園〜ワンバンコク(片道20分)
ここから歩道橋を渡って反対側に移り、ルンピニ公園の中を歩いてみました。公園の北側では現在再開発が進められていて、ルンピニ公園とベンチャキティ公園をつなぐ遊歩道が整備されています。そこからさらにスロープ状の遊歩道が伸び、2026年に完成したドッグパークなど、新しい設備もできていました。
ルンピニ公園は1925年のラーマ六世の時代にできた、バンコクで最初の公園で、100年以上の歴史のある場所です。


公園を出て再びワイヤレス通りを渡り、南に向かって歩くと、日本大使館が見えてきます。壁づたいにさらに歩くとワンバンコクが見え、その手前に「ソイ・アルン・マッキンノン(Soi Arun McKinnon)」という通りがあります。

この先にオーストラリア大使館があるのですが、「マッキンノン」は同大使館ができた2022年に命名された、当時の大使の名前です。タイ語では「よく食べて寝る(มักกินนอน)」という意味もあり、ちょっとユーモア感じる名前として知られています。

ソイ・アルン・マッキンノンを奥まで歩くとオーストラリア大使館が、さらに奥にはアリアンス・フランセーズのモダンなビルが見えてきます。フランス大使館自体はリバーサイドのチャルンクルン通りにありますが、フランスの公的機関として、国際色豊かなワイヤレス通りを象徴する一角になっています。

休憩スポット3 ボンジュール・ボンソワール
アリアンス・フランセーズの中にあるカジュアルなビストロ「ボンジュール・ボンソワール(BonjourBonsoir)」でランチにしました。赤いベアーがアクセントになった、フランスらしいおしゃれなお店です。本格的なフランス家庭料理や軽食を手頃な価格でいただけます。私が訪れたのは日曜日だったので空いていましたが、普段はアリアンス・フランセーズのフランス語のクラスに通う生徒で賑わうそうです。


ワイヤレス通りの最新スポット「ワンバンコク」
ランチの後、ワイヤレス通りの最新の複合商業施設「ワンバンコク(One Bangkok)」に立ち寄りました。敷地内には、リッツカールトンとアンダーズの2つのホテルがあり、オフィス棟や商業施設が立ち並んでいます。以前にも何度か立ち寄りましたが、その度に道に迷ってしまうほど広く、ショッピングもダイニングも非常に充実しています。

注目したいのが、ワンバンコクの建設中に発見された無線通信局の遺構です。これこそ、ワイヤレス通りの名前の由来となった場所。遺構は保存され、無線通信局の建物を再現した博物館「ワイヤレスハウス」として公開されており、館内にはワイヤレス通りの歴史を伝える展示と併設カフェ「ワイヤレスクラブ」があります。


しばらくワンバンコクの中を歩いた後、シャトルバスに乗ってBTSプルンチット駅まで戻りました。これでワイヤレス通りの散策は終了です。
ワイヤレス通り散策のまとめ
今回の散策では、BTSプルンチットを起点に、ワイヤレス通りを南北に歩いてみました。近代的な商業施設や高級ホテル、大使館街、そしてバンコク近代化の歴史まで、この通りにはさまざまな魅力が詰まっています。
ワイヤレス通り沿いには、パークハイアットやオークラ、コンラッド、アテネホテルなど、バンコクを代表するホテルが数多く建っています。滞在中はホテルでゆっくり過ごすのも魅力ですが、ぜひ少し時間を作って周辺を歩いてみてください。
ホテルのすぐ近くには、大使館や王族ゆかりの建物、100年以上の歴史を持つ公園、昔ながらの老舗レストランやカフェなど、ガイドブックでは気づきにくいスポットが点在しています。ワイヤレス通りの歴史を知ってから歩けば、何気なく通り過ぎていた風景も違って見え、ホテルステイがより思い出深いものになるはずです。

ワイヤレス通り沿いのおすすめホテル
ワイヤレス通りには、バンコクを代表するラグジュアリーホテルが集まっています。散策の拠点としても便利なので、ホテル選びの参考にしてください。
※ホテル名をクリックすると宿泊料金や空室状況をご確認いただけます。
タイランド画報 (ThailandGaho) 